旧正月とコロナ禍・マレーシア編

マレーシア

新型コロナの流行は、人々の生活様式を大きく変えました。今まで当たり前だった行事ができなくなり、逆に今までやらなくてよかった事が強いられています。

「旧正月」の習慣も、コロナ禍の影響を大きく受けました。そこで、ここでは「旧正月とコロナ禍・マレーシア編」をお送りします。

旧正月の歴史

中国をはじめとする、マレーシア、ベトナム、シンガポールなどの一部のアジアの国では、「旧正月」は一般的な祝日です。この習慣は、日本人にはあまりなじみがありません。「旧正月」という名称から何となく意味は分かっても、本当に理解している人は少ないのではないでしょうか。

「旧正月」とは、「太陰暦(たいいんれき)における年始」のことです。太陰暦とは、月の満ち欠けの周期を基にした暦のことをいいます。ちなみに、私たちになじみのある西暦(グレゴリオ暦)は「太陽暦(たいようれき)」と言い、地球の公転周期をベースにして作られた暦です。

太陰暦の歴史は非常に古く、一説によると太陰暦の起源は、古代メソポタミア文明にまでさかのぼります。つまり、紀元前2000~3000年頃にはすでに使われていたということになります。中国においても、紀元前1000~2000年頃には使われていたとされています。

当然、旧正月を「祝う」ようになった歴史も非常に古く、起源は殷王朝(紀元前16から11世紀頃)で、神や祖先を祀る儀式が変化したものとされています。

現在では、旧正月は「神に新しい年の祝福を願い求める日」であり「古いものを終わらせ新しいものをスタートさせる日」ともされています。家族や友人、親族が一堂に会し、その1年が幸福であることを祈ります。

マレーシアの旧正月の特徴

マレーシアの旧正月は、親戚同士で集まり、子供達には「紅包(アンパオ)」と呼ばれるお年玉が配られます。街中を「ライオンダンス(獅子舞)」が練り歩き、国中がお祝いムードで賑わいます。

また、商店には赤色の「繁栄の象徴」とされている「ミカン」が並び、皆が箱で買っていきます。ミカン箱も赤色をしているのが特徴です。これは、中華圏では赤が縁起のよい色とされているためです。

また、マレーシアの旧正月で欠かせないのが「イーサン(Yee Sang)」と呼ばれる海鮮サラダです。(日本の海鮮サラダとは違います)漢字では「魚生」と記します。主にマレーシアとシンガポールにおいて食べる料理で、「豊かになる」という意味をもつ「余升(中国語のYusheng/イーシェン)」と発音が似ていることから、縁起物として食べられるようになったと言われています。

あまりイメージがわかないと思いますので、まずは下の動画をご覧ください。

千切りにしたにんじん、大根、香菜(パクチー)などの野菜、ピーナッツ、サーモンなどの具材がきれいに盛りつけられ、最後に甘酸っぱい独特のソースをかけて、皆で一緒に混ぜます。

皆で混ぜる時は、こぼれるのもいとわず、箸で高く持ち上げて混ぜます。高く混ぜれば混ぜるほど、テーブルが汚れれば汚れるほど、縁起がいいとされているからです。面白い習慣ですね。

しかしコロナ禍の今年は……。

マレーシア人は、多くの人がシンガポールで働いています。今年は、新型コロナウィルスによる移動規制がかかっています。シンガポールに再入国する際には、自主隔離として「自費」でホテルなどに滞在する必要があり、そういったことが影響して、多くのシンガポール在住のマレーシア人が帰省を見送りました。

また、マレーシア国内の帰省に関しても、今年は見送る人たちが多かったようです。政府の通達により、近所に住んでいる親族(おおむね10㎞以内)を除き、親族で集まることが禁止になったためです。また、10㎞以内であっても、地域や県を越えて集まることが禁止されました。

マレーシアは、敬虔なイスラム教徒や仏教徒が多い国ですが、寺院での祈りも「昼間の30分」に制限されてしまい、残念ながら例年とは異なる旧正月になってしまいました。

まとめ

マレーシアは「イスラム教」のイメージが強いかもしれません。ですが「中国」との結びつきも強く、中国の文化が色濃く残っています。旧正月を祝う習慣も同様で、中国の影響を強く受けています。

今年はコロナウィルスの影響により、例年のような賑やかな旧正月の様子を見ることは出来ませんでした。一日も早くコロナウィルスが収束し、来年は例年通りの盛大な旧正月になることを多くの人が願っているでしょう。

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