中国のコーヒー事情2021年版 

はじめに

世界一の人口を誇る中国。中国で巻き起こる「ブーム」は、しばしば世界市場の流通に影響を与えます。ここでは、最近の中国のコーヒー事情についてお伝えします。

私は10年ほど前に中国に滞在していたのですが、その頃の中国人の「コーヒー観」がどのように変化していったのか、良かったら過去の記事もご覧ください。

中国でのコーヒーブーム

今、中国ではコーヒーブームが起きています。

2019年度の調査によると、中国人1人当たりの年間コーヒー消費量は7.2杯、前年比で15%も伸びたとのことです。ちなみに、世界における消費量の伸び率はたった2%です。近年の中国のコーヒー需要が、非常に大きいことが分かります。
(参照:https://36kr.com/p/1085019832516867)

中国はもともとレギュラーコーヒーを飲む習慣はありませんでした。スーパーで売られているのは、甘い(砂糖とミルクたっぷり)インスタントコーヒーでした。そのインスタントコーヒーでさえも、購入者が多いわけではありませんでした。

「スターバックス」が大都市(北京・上海など)に進出し始めると、若者を中心にコーヒー人気が高まっていきました。ちょっと “いけてる” 感じ、も良かったのでしょう。スターバックスは、その後、地方都市にもどんどん進出してゆきました。今後も拡大を続ける計画で、2022年までに、230都市6000店舗展開を目指しています。

コーヒーだけでなく、スイーツや洋食などの「カフェメニュー」も若年層を中心に人気が高まっています。例えば、日本のスイーツ(ケーキ・プリン・ゼリー・パンなど)は特に人気があります。

中国版YouTube「bilibli」動画でも、日本のケーキの作り方など、たくさんのカフェメニューが紹介されています。

出典:bilibili

中国は人口も多いですし、若年層を中心に、今後も「コーヒー(カフェ)」需要は続いてゆくでしょう。

コーヒー豆の市場価格も上昇

中国マーケットのコーヒー人気もあり、コーヒー豆の市場価格が上昇しています。ロンドンにある「国際コーヒー機関(International Coffee Organization)」によると、2019年1月は、1ポンドあたり(平均)95セントだったのが、2021年1月には、1ポンドあたり(平均)115セントと、20%以上も高騰しています。(参照:http://www.ico.org/documents/cy2020-21/cmr-0121-e.pdf)

意外にも中国はコーヒー生産国

世界的にはまだ知られていませんが、中国の「雲南省」は、コーヒーの産地です。主に、アラビカ種のコーヒー豆が栽培されています。最近は、焙煎技術が向上し、”高級路線”で売り出し始めています。徐々に、世界の市場にも進出できるでしょう。

中国のECモール「TMALL(天猫)」でも、コーヒー豆が販売されています。「スターバックス」のコーヒー豆も売れ行き好調ですが、「雲南」のコーヒーも人気が高いようです。今のところ、雲南コーヒーの方が値段が手頃です。

出典:TMALL

しかし大型チェーンの倒産も

2017年に北京でオープンした「瑞幸咖啡(Luckin Coffee)」は、急成長して、2019年にナスダックに上場しました。2020年時点で、約6900店舗にまで拡大しました。その発展はスターバックスを上回る勢いで、「中国のスタバ」とまで言われるようになりました。

「瑞幸咖啡(Luckin Coffee)」がスターバックスと違っていた点は、「アプリ」を使って注文し、モバイル決済し、店舗についたらすぐ受け取れる(配送もOK)というサービスです。店舗で行列しなくて良いというのは、中国人好みだったのでしょう。値段もスターバックスより安かったので、それも人気が高まった要因だったのでしょう。

ところが、2020年4月、売り上げを22億元(1元15.5円換算で約340億円)も水増ししていたことが発覚。この不正会計により、2021年2月に破産申請し、倒産するという事態になりました。便利さを追求するアイディアは良かったのですが、あまりに事業展開が速すぎました。

まとめ

中国は、流行の展開が早いです。何かがヒットすると、(人口が多いので)莫大な利益を生みます。ですが、逆に失敗すると、損害額も莫大になります。

ここでは、中国のコーヒー需要について取り上げました。若年層を中心に、コーヒー文化は確実に根付きました。中国でもコーヒー豆が生産されていますから、今後は自国のコーヒーを使った新たなビジネスが生まれるかもしれません。

いずれにしても、中国で成功している「カフェ」が参考にしているのは、日本を含めた外国の文化です。日本のスイーツ・パンなどは、大いに参考にしています。店舗のインテリアなども、日本や外国の影響を大いに受けています。中国のコーヒー業会は、今後も発展してゆくでしょう。

株式会社アットグローバルは、中国(上海)に関連企業を持ち、中国語翻訳(https://www.atglobal.co.jp/translation/languages/chinese)中国向けデジタルマーケティング(https://www.atglobal.co.jp/marketing/china)のお手伝いをしています。お問い合わせ、ご要望、なんでもお受けしています。お気軽にご連絡ください。

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