【事例紹介】木曽おんたけ観光局のインバウンド対策から学ぶ

インバウンド需要

はじめに

「日本の観光業が活性化することによって地方経済も連動し元気な地域を取り戻せる」
このような考えに基づき、これまでさまざまな施策が打ち出されてきましたが、人口減少などによる本来的な地方経済の衰退は、観光施策を打ち出すうえでも大きなハードルとなっています。

国内観光客だけでなく、訪日外国人を地方に誘致する施策を講じるうえで、地域経済の活性化は避けては通れない課題です。
日本に関心の高い外国人は「日本の魅力的な地方」に興味を持っていますから、「地方創生」のチャンスは大いにあるのです。

現在はコロナ禍のためインバウンドは激変していますが、今後のインバウンド再開に向けて取り組みを始めるのはいかがでしょうか?

ここでは、観光施策を自ら企画・開発した、木曽おんたけ観光局の取り組みをご紹介します。

参考資料:JNTO木曽おんたけ観光局 インバウンド事例調査レポート

日本遺産―木曽路の魅力

長野県の南西部に位置する木曽地域は、日本遺産として登録されています。
木曽町は「日本で最も美しい村連合」にも加盟しており、隣町の王滝村は、日本一のヒノキ林を持つ県下屈指の山間高地にある町です。

木曽地域は、緑豊かな大自然が魅力。

外国人旅行者も多く訪れ、​​江戸時代から続いている中山道の風情豊かな宿場町、歴史的名所めぐりが人気です。

カヌー、トレッキング、登山、スキーといったアクティビティも充実。
訪日外国人旅行客は、これまでも5〜6月、9〜10月の時期に多く訪れ、歴史文化・ウォーキング好きの外国人リピーターが多いのが特徴です。

しかし、少子高齢化に伴う人口減少や、2016年の御嶽山の噴火などの影響を受け、木曽地域の経済の落ち込みが見られたため、特にインバウンドに力を入れる必要が生じました。

木曽路の魅力はこちらの「木曽広域公式観光サイト」も参照してください。

木曽おんたけ観光局の取り組み

木曽町はどのように経済の活性化を図ったのでしょうか?
いくつかの視点からご紹介します。

「BtoB」戦略

木曽おんたけ観光局は、「ROI(投資対効果)」を視覚的に分かりやすくするため、見える化した「BtoB」(*企業から企業へ)の戦略を開始しました。
「BtoC」(企業から消費者へ)の宣伝では、予算がかかりすぎるうえに効果が見えにくいからです。
そこで、海外旅行事業者に的を絞り、木曽町を売り込むことを決めました。

まず、木曽にしかない観光コンテンツ、空港から木曽へのアクセス、ホテルなどの観光客が求めるサービスについて調査して改善点を見出し、地域の「現状把握」を実施。
自分たちで実行し検証することから始めました。
また、海外エージェントに木曽を視察してもらうファムトリップを中心に、実際に木曽路を体験してもらうことでBtoBプロモーションに特化した戦略を進めたのです。

海外の「ターゲット国」を選ぶ

では実際のターゲット国をどのように決めたのでしょう。
基準は、海外からどのような経路で木曽入りするかといった導線やターゲット国の経済力などをもとに、現実的に木曽に来て泊まっていくことが期待できるかどうかに絞り込みました。

海外から木曽へのアクセス(空路)のよさ、木曽の自然・歴史文化への興味などを加味し、ターゲット国をドイツ・イギリス・オーストラリア・台湾に決めました。

また、ドイツ・ベルリンで開催された世界最大のトラベル・ツーリズム・トレードフェア「国際旅行博(ITB)」に参加し、木曽をPR。
ターゲットとなる国のエージェントにファムトリップへの招待も行っています。

「ファムトリップ」戦略

ファムトリップとは、​​ターゲット国の旅行事業者などに木曽を視察してもらうプロモーションのこと。

ターゲット国のエージェントに木曽の自然、文化、アクティビティ、食、交通、宿泊、サービスを視察してもらうことにより、ターゲット国に最大PRすることができます。

エージェントの満足度を上げるには、帯同者には英語によるコミュニケーション力が求められ、レストランの選定に至るまで気を配る必要があります。

ファムトリップに参加した国のエージェントの意見を取り入れ、改善点を宿泊施設や飲食店などにフィードバックするよう努めることも重要な視点です。
さらに、木曽おんたけ観光局は独自のシステムを構築し、海外エージェントがオンラインで直接予約することができるようにし、自立した管理運営を徹底しました。

このような取り組みの結果、観光客受け入れのレベルアップとコスト削減を図ることができたのです。

今後の課題

インバウンド宿泊数の拡大のため、連携できるパートナーを開拓し、団体だけでなく個人の訪日客、冬場の旅行客の取り込みに注力する施策が求められます。
また、外国人が快適に宿泊できるように施設を整えるなど、宿泊施設のサービス向上・改善も喫緊の課題です。
さらに、地元の商工会議所などとの連携を深め、さらなる観光資源の開発につながる施策が必要でしょう。
独立採算を確立し自立したDMOとして、自発的な成長戦略と優秀な人材の育成を目指し、「稼ぐ DMO」の確立を木曽おんたけ観光局は目指しています。

おわりに

ここでは、木曽おんたけ観光局によるインバウンド対策を見てきました。
さまざまな自助努力によって功を奏したとはいえ、外国人の地方誘致には工夫と努力が求められます。
今後の地方創生のために、参考にされてみるのはいかがでしょうか。

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