【フィリピン語翻訳の落とし穴】翻訳者が語る!注意するべき7つのこと

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フィリピンの公用語は、フィリピン語と英語です。ここではフィリピン語の特徴と、フィリピン人の傾向など、ビジネスにおいて役立つ情報をお伝えします。

フィリピン語の特徴

1.フィリピン語はフィリピンの国語である

基本的に「フィリピン語・フィリピノ語・タガログ語」は同じ言語を指しています。フィリピン憲法により、マニラ首都圏で話されていたタガログ語がフィリピンの公用語と定められました。メディアでも使われているのはフィリピン語です。フィリピンに住んでいる人たちは、地方出身者であっても、フィリピン語を理解し、読み書きが出来ます。

2.フィリピン語は基本「アルファベット」表記で「ローマ字読み」

古くは「バイバイン(アリバダ)」と呼ばれる、インドに起源を持つ文字が使われていましたが、現在は「アルファベット」表記です。フィリピン語のアルファベットは「アバカダ」と呼ばれています。フィリピン語では「c, f, j, q, v, x, z」を使用しません。(英語の固有名詞を記載する際は使用する)英語には存在しないフィリピン語独自の子音「ng(ング)」もあります。この他にも独特の発音をする単語がいくつかあります。英語と同様、フィリピン語の「L」と「R」の発音が違います。しかし、基本的には「ローマ字読み」で通じますので、フィリピン語初心者でも比較的簡単に読むことができるでしょう。

3.フィリピン語は「スペイン語」の影響を大きく受けている

フィリピンは長い間スペインの植民地だったので、スペイン語の影響を大きく受けています。例えば「数字」にはスペイン語と英語が使われています。(ただし、1-10の小さな数字はフィリピン数字が使われる)「曜日」もスペイン語を用います。その他の単語もスペイン語由来のものがたくさんあります。例えば「serpyente」(蛇)、「kwarto」(部屋)、「pamilya」(家族)などです。(「pamilya」の正しいスペルは「familia」)フィリピン語では「f」を「p」に換える傾向があります。英語の「forty」を「ポルティ」、日本語の「ofuro (お風呂)」を「オプロ」とfがpの発音に変わってしまいます。

4. フィリピン語は「英語」の影響も大きく受けている

フィリピンはアメリカの植民地でもありましたので、英語の影響も多大に受けています。そのためフィリピン語は「タグリッシュ」(Tagalog + English)とも呼ばれています。フィリピンの人は日常会話でタグリッシュを話します。マニラなど都市部にこの傾向が強く、朝の挨拶では「good morning po」と言います。(「po」は「ございます」の意味)フィリピン語で言うと「magandang umaga po」と長いので、タグリッシュを使う方が便利です。例えば「シートベルト」もフィリピン語だと「Sinturong Pangkaligtasan」と長いので、英語の「Seatbelt」を使うほうが便利です。「タグリッシュこそフィリピンの言葉」と言えるほど、フィリピン人にとって身近な言語となっています。学校では「フィリピン語」と「英語」の両方が使われています。数学・物理・化学となどの教科では(フィリピン語の単語に限りがあるため)英語が使われています。

5. フィリピンは「多言語文化」である

フィリピンには170以上の言語が存在すると言われています。これらの言語は方言程度の差ではなく、全く別の言語形態です。フィリピンは7000を超える島で構成されていて、このような地理的要因のためにたくさんの言語が存在しているのでしょう。フィリピンの学校ではフィリピン語と英語の両方が用いられているため、フィリピンのほぼすべての人がフィリピン語を理解することができます。地方出身の人たちは地元の言語を母語としますから、計3ヶ国語を話すことが出来ます。フィリピンにはこのような多言語文化の背景があります。

日本語との違い

1.フィリピン語の語順は「V+S+O」である

日本語は「S+O+V」ですが、フィリピン語では「V+S+O」で、動詞が先頭に来ます。

例えば「私は寿司を食べました」という文ですと、フィリピン語では「食べた、私は、寿司を」という語順になります。フィリピン語で表すと、

   ① “Kumain ako ng sushi”
   ② “Kinain ko ang sushi.” 

①②の文章はどちらも意味は同じなのですが、フィリピン語では「フォーカス体系」という文法があるために表現の違いが生じます。文章の中で「焦点を向ける対象」の違いにより「動詞」が変化します。これがフィリピン語のとても難解な分野です。

「私」にフォーカスすると「Kumain ako ng sushi」となります。
   *「ako(私は)」「ng sushi(寿司を)」
「寿司」にフォーカスすると「Kinain ko ang sushi」となります。
   *「ang sushi(寿司を)」

2.フィリピン語は「動詞」の変化が複雑

フィリピン語は動詞の変化が大変複雑です。1つの例文から見てみましょう。

「私は彼にパンをあげた」実に簡単な文章ですが、フィリピン語では、

Nagbigay ako ng tinapay sa kanya. 
Ibinigay ko ang tinapay sa kanya.
Binigyan ko siya ng tinapay.

このように表現が多彩です。①②③の文はいずれも意味は同じですが、「動詞」の「bigay(あげる)」が、フォーカスする「名詞」に合わせて変化しています。①では「ako(私)」、②では「ang tinapay(パン)」、③は「siya(彼)」が強調されています。

フィリピン語では、強調したい「名詞」に合わせて「動詞」が変化します。元の動詞「ルートワード」に、「時制」や「接辞」(「Nag-, -in-」など)を加え変化させます。複雑に変化した動詞がたくさん存在しているので、辞書で調べる際はまず「ルートワード」を識別しなければなりません。学べば学ぶほど奥の深い言語と言えるでしょう。

日本語からフィリピン語は自動翻訳できるのか?

今のところ、かなり厳しい状況と言えます。上記で述べたように日本語とフィリピン語は語順が異なり、フィリピン語はフォーカスされる名詞の違いで動詞が変化します。日本語の文章の中のどの語句がフォーカスされるべきか自動翻訳で判断することは不可能でしょう。また、フィリピン語は語彙が少ないため、意味を深めより自然な文章にするために「英語」の表現を付け加える方が良いことも多く、自動翻訳でその判断をすることは不可能です。「google翻訳」を使用するとこのように翻訳されます。

「私は昨日卵を買いました」→「Bumili ako ng isang itlog kahapon」

簡単な文章なので問題なく翻訳されているように見えますが、自動翻訳ではフォーカスするのが「ako(私)」であることが多いです。フォーカスの対象を変えて、動詞を様々に変化させることは難しいでしょう。

フィリピン語翻訳をする、依頼する際に気をつけておくべきこと

フィリピン語翻訳に関しては、全ての語句をフィリピン語にすると不自然な文章になる場合があります。上記でも述べましたが、「タグリッシュ」を使った方がより自然な翻訳になる場合もあります。また、一般的に英語表記されている語句に関しては、英語で翻訳するほうが良いでしょう。

フィリピン語には「フォーカス体系」がありますから、日本語の文章の中でどの語句を強調点とするかをよく考慮して翻訳する必要があります。翻訳者によってその判断が異なることもあるでしょう。

フィリピン語は文章の最初に動詞が置かれますが、日本語は最後に置かれます。フィリピン語では文章の最初の部分が一番重要で、日本語は最後の部分が重要です。この違いをよく見極めて翻訳する必要があります。

フィリピン語は、Microsoft word等の文字カウント機能で文字数・単語数を調べることが出来ます。フィリピン語は1単語の文字数が多いので、単語数に比べて文字数が多くなります。日本語の原文をなるべく簡潔にすることにより、文字数の調整ができるでしょう。

日本語からフィリピン語の翻訳料金の相場

メジャーな言語ではないためか、翻訳会社によってバラつきがありますが、1文字10円~20円程度を目安に考えることができます。

フィリピン語翻訳の場合、共通点は「単語数」ではなく「文字数」が基準となっています。これは、一単語が長い言語なので、単語数を基準にすると損と考えられているのかもしれません。

日本とフィリピンの商習慣の違い

1.フィリピンは「ジャパンブランド」が好き

フィリピン人は親日国で、特に「Made in Japan」が大好きです。トヨタ・ホンダ・ヤマハ・パナソニック・ソニーはフィリピンにおいて一流ブランドとなっています。日本の製品に対する信頼度の高さと、日本に対する良い印象はビジネスにおいて有利に働くでしょう。

2.従業員がミスのペナルティを課されてしまう

フィリピンでは従業員がミスをした場合、損害額が従業員の給与から天引きされてしまいます。これは従業員にとってかなりのストレスとなります。ミスに対してこのようなペナルティを課されることがあるので、何かのトラブルが発生した場合に誰に責任があるのかということでよくもめます。フィリピンでビジネスを成功させるためには、トラブルを事前に避けるための様々な対策、明確な契約をしておくことが重要です。

3.「時間厳守」がしにくい交通事情である

首都マニラであっても、物流や交通インフラがまだまだ整っていません。雨季の時期になると、道路は浸水してしまいます。マニラの交通渋滞はひどいので、フィリピンでビジネスをする際にはこういった都市の状況を考慮し、時間厳守が難しいことを認識しておく必要があります。

フィリピン人の仕事する上での価値観

フィリピン人は「お気楽」に仕事をし残業はしません。今だに公的機関でも「賄賂」を渡さないと手続きをしてくれないところもあります。多くの人たちが、どんなに働いても給料は安いのだから一生懸命に働く意味はないと考えています。(給与の1ヶ月平均は1万ペソ(約21,500円)です)また、時間や納期などを含め「約束」をきちんと守れないという傾向もあります。フィリピン人は真面目に仕事をすることより、気楽に楽しく毎日を暮らす事を大切にします。これは南国によくある傾向かもしれません。

しかし、人をよくもてなしたり、感謝の心を示したり、愛情を素直に表現するなど、人として良いところがたくさんあります。フィリピン人とビジネスをしていく上で重要なのは、良い人間関係を構築することです。良い関係を保つなら、仕事にも励んでくれることでしょう。

まとめ

親日国フィリピン。日本とフィリピン両国はビジネス上での繋がりも深いです。フィリピン語は「アルファベット表記」で「ローマ字読み」なので、親しみやすい言語に思えますが、とても複雑で独特なルールを持つ言語です。現状、自動翻訳でフィリピン語に翻訳することは不可能に近いと言えます。ビジネスにおいてフィリピン語翻訳が必要な際は、ぜひ株式会社アットグローバルにお任せください。

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