【決定版!】日本企業がベトナムECマーケットに出店する方法
日系企業がベトナムに進出する際は、当然のことながらベトナム国内では外資系企業として扱われます。そしてベトナムの法制度上、「ベトナム国内の企業」と「外資系企業」では事務手続きなど含めて、取り扱いが大幅に異なることを理解する必要があります。
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ベトナムECマーケットの魅力と参入障壁
ベトナムの魅力
ベトナムECマーケットの魅力は、なんと言っても人口増加率の高さやECマーケットの成長率の高さ、また日本製品に対する信頼度・好感度の高さがあると言えます。例えば人口増加についていえば、国連によると2055年頃まで増加が続き、最大1億1000万人規模になる旨の予測が出されています。現在の人口が9700万人ほどですから、まだ1割以上人口が増える計算になります。
ベトナムECマーケットへの参入障壁
しかしながら、参入障壁は高いと言わざるを得ません。理由は主に3つあります。
- 現時点では、アリババグループが運営する中国のオンラインショッピングサイト「天猫国際」のように、外国企業が海外から直接出店できる越境EC専用モールが存在しません。そのため、ベトナム現地に法人を所有していない場合は、ECモールでの販売ライセンスを所有する現地ベトナム企業とパートナーを組み、代理販売をしてもらう必要があります。
- 現地に法人を所有している場合は、①越境ECで販売するためのライセンス(投資登録証明書(IRC)、企業登録証明書(ERC))と、②越境ECで販売したい製品についての販売許可、の2つをそれぞれ取得する必要があります。
- 競争が非常に激しく、ベトナム人消費者は特に価格に対してとてもシビアです。これもひとつの障壁といえるでしょう。
日本企業がベトナムのECマーケットで商品を販売する2つの方法
1.現地ベトナム企業による代理販売を利用する
ベトナム現地に法人を所有していない場合は、この方法が最もハードルが低いと言えるでしょう。すでにECモールでの販売ライセンスを取得し、所有している現地のベトナム企業とパートナーを組み、代理販売をしてもらうことができます。
2.現地法人を設立し、モール型ECサイトに独自に出店して販売する
現地に法人を所有している場合、または現地法人を設立して販売する場合は、前述のとおり①越境ECで販売するためのライセンス(投資登録証明書(IRC)、企業登録証明書(ERC))と、②越境ECで販売したい製品についての販売許可、の2つをそれぞれ取得する必要があります。
現地ベトナム企業による代理販売を利用する方法
ベトナムの会社に代理店になってもらい、自社の商品を販売してもらう方法です。ふさわしい企業をリサーチするために、JETRO(日本貿易振興機構)や越境ECのコンサルティングを行う会社に相談し、企業を推薦してもらうことができます。あるいはすでにベトナムに進出している企業から紹介してもらうこともできるかもしれません。
ただしあくまでも推薦なので、最終的には自社で決定しなければならないのはいうまでもありません。また、英語で対応ができる会社は少なく、日本語対応が可能な会社はさらに少ないです。そのため、ベトナム語の翻訳者や通訳者を確保することが必要です。
現地法人を設立し、モール型ECサイトに独自出店する方法・手順
1.現地法人の設立
ベトナムでは法人の業種によって会社を設立する際の管轄機関が異なります。そのため、法人設立に要する期間や条件も様々です。一般的には、法人設立まで概ね3~6ヶ月の期間がかかります。
製造業の法人設立はそれほど難しくはありません。半年から1年程で登記から従業員の募集までできます。しかし、投資規制業種の法人設立は、地方の管轄機関では判断できないため、中央の認可を取得する必要があり、時間と労力を要します。
ベトナムでは、法人設立に必要な資本金の金額に最低限度額はありません。(保険・銀行・不動産などは別途定められています)資本金の金額についての規定がある業種で資本金が少ない場合には、事業の実効性が疑問視されてしまい、法人設立が認められないケースもあるようです。
このように、日本の感覚とは大きく異なり、ベトナムでの法人設立の手続きは非常に煩雑です。そのため、自力で行なうよりも、法人設立の代行業者や進出コンサルタントに依頼したほうが結果的に時間も費用も節約できるでしょう。申請内容にミスがあった場合には、現地でのビジネスができないままいたずらに時間が過ぎてしまいます。
円滑に事業を運営する上でも、ベトナム進出の初期段階では、しっかりと諸手続きを進めることが非常に重要です。ベトナム進出サポートを行っている株式会社アットグローバルにどうぞお任せください。
2.ライセンスの取得
投資登録証明証(IRC)
ベトナムの外資系企業すべてが取得すべきライセンスが投資登録証明書(Investment Registration Certificate = IRC)です。そもそも外国からの投資の許可をもらってはじめて法人設立が可能になります。
相当大規模な投資の場合には政府への事前申請・承認が求められますが、実務としては省の計画投資局もしくは工業団地や経済特区の管理委員会に申請します。申請してから発行されるまで通常半月程度かかります。
企業登録証明証(ERC)
日本でいうところの法人登記に当たるのが、企業登録証明書(Enterprise Registration Certificate = ERC)の取得です。こちらも前述のIRCと同様に省の計画投資局や工業団地・経済特区の管理員会に申請となります。こちらは3~4日で発給されます。
3.製品の販売許可の取得
ベトナムはライセンス社会とも呼ばれるほど、政府から各種許可を得る必要があります。例えば、外資系の小売業については「政令09/201/ND-CP」によって管轄市・省の商工局の営業許可証が必要です。
また、小売業でも特にお米や砂糖、録画した製品や図書、新聞や雑誌などの小売販売については商工省や管轄当局の承認を得たのちに、営業許可証を取得する必要があります。何を扱うかによって取得すべきライセンスが異なることを理解したいと思います。
4.商標登録
ベトナムの場合、「先願主義」なので自社のブランドや商標を守るためには早めに行動する必要があります。なぜならベトナムの法律上、外国で有名な商標であってもベトナム国内で無名であれば先に出願した人のものになるからです。つまり、日本で有名な「○○」という商品名であっても、ベトナムで販売されたり輸入されておらず、ベトナム国内市場では誰も知らない、という場合には赤の他人が「○○」の商標登録をしたら受理されてしまう、ということがありえます。
そのため出願を急ぐことは非常に大切でしょう。ただし、実際に申請してから結果が出るまでは1年以上かかることも珍しくありません。また登録完了後10年ごとに再申請が必要となることにも注意しましょう。
5.販売開始
実際に事業がスタートした後も、様々な問題が生じるものです。例えば、意外に思われるかもしれませんが、労働者保護の法律は日本よりもベトナムの方が厳しいので、その対応が必要です。
また、ベトナムは独自の会計制度(Vietnam Accounting Standards)があり、会社設立2年目以降には「チーフアカウンタント」という資格を持った人を配置する必要があります。決算書類に社長とともにサインする、という会計責任者のようなポジションです。しかし、大学や専門学校を卒業したのち数年の実務経験で取得できる資格なので、資格があるからといって経理のエキスパートとは限らないのが実情です。(会計事務所に委託することでチーフアカウンタントを雇用しないこともできます。)
まとめ
日本企業がベトナムECマーケットに出店する方法について取り上げました。ベトナムは、世界で最も速い電子商取引の成長率を誇る国の1つであり、アジアでもっとも有望なマーケットのひとつであることは間違いないでしょう。
様々なeコマースショッピングサイトやそれらのプラットフォームに出品するショップ間の競争が激しく、またシビアなベトナム人消費者に自社製品を選んでもらうことは容易ではありません。さらに、ベトナムの市場への参入障壁は決して低くはありませんが、しっかりした戦略と計画を立てて取り組めば勝算は十分にあります。特に日本製品に対する信頼感と人気は非常に高いので、日本製品を出品することも検討する価値があるでしょう。
株式会社アットグローバルは日本企業がベトナムのマーケットに進出するサポートをワンストップで提供する有力候補といえるでしょう。ぜひご相談ください。