旧正月とコロナ禍・韓国編

ウィズコロナ時代を生き抜くための取り組み,韓国語

はじめに

新型コロナウイルスによる感染症が拡大し長期的に猛威を振るっていることによって、世界中の人々は、ライフスタイルを大きく変更させられました。

アジア諸国などの旧正月を祝う国では、本来であれば祝日の期間に人々が実家に帰省するのですが、コロナ禍の影響により、社会的距離や人的接触距離の確保を余儀なくされています。各国が国を挙げた感染症対策を講じるなか、今年も旧正月という一大イベントを迎える時期が到来します。

ここでは、旧正月を迎える韓国が新型コロナの影響をどのように受けたかについてお届します。

旧正月の歴史

「旧正月」は、月の満ち欠けに太陽の動きを加味した基準で作られた「太陰太陽暦」、つまり旧暦の正月のことです。太陽の動きを元に改暦された「太陽暦(グレゴリオ暦)」を主に使用する日本などではなじみの薄いものとなっていますが、中国や韓国、台湾など、旧暦を使う国では国民の祝日になるほど、大きなイベントとしてお祝いされるものです。

1年の始まりに幸福を祈願する

太陰暦の最初の新月が旧正月にあたり、その日付は毎年変わります。旧暦は太陽暦とは1か月程度の差があるため、1月下旬から2月中旬までの間が旧正月に当たります。旧正月は、古いものを終わらせ新しいものをスタートさせる節目であり、人々が神さまに新しい年の祝福を願い求めるものです。日本が1月1日のお正月を1年の始まりとしてお祝いするように、旧正月も家族や友人、親族で集まり、その1年が幸福で福が来ることを祈り祝います。

韓国の旧正月の特徴

韓国では現在も、年中行事を旧暦で行うことが多く、旧正月はソルラルと呼ばれます。1月の下旬から2月の中旬頃に、当日を挟んだ前後3日間が連休になる韓国の伝統的な祝日で、一年のはじまりを親戚皆で祝います。

韓国の旧正月ソルラルとは?

ソルラルは、韓国の秋のお彼岸に当たる秋夕(チュソク)と共に一大イベントとなる名節。ソルラルが韓国の新年の始まりとなり、ご先祖様の墓参りをしたり、祭祀膳を備えたりして、家内安全を祈願します。家族や親族、友人が集まり、トックッと呼ばれる餅のスープ、日本でいうお雑煮を食べ、子供たちにはセベットンと呼ばれるお年玉が渡されます。

旧正月にみな一斉に歳を取る

また、韓国では数え年で年を数えるため、全員が正月に歳を取るという習慣です(最近は旧正月ではなく新正月・1月1日に歳を取る、というカウントの方が多いそうです)。正月にトックッを食べることがひとつ年齢を重ねることになるのです。日本と同じように年賀状もあります。もともと新年の挨拶をやりとりしていましたが、昨今、カカオトークなどのSNSでやり取りする人が増えているようです。

しかしコロナ禍の今年は…。

旧正月(ソルラル)で集まることを禁じる国策

未だ世界各国で新型コロナウイルスの感染が収束の兆しを見せないなか、2021年2月の韓国でも、感染症への警戒から緊張状態が続いています。

1月31日、韓国の首相による声明では、「政府は現在のソーシャルディスタンス段階と防疫基準を、旧正月の連休が終わるまで2週間そのまま延長する」と述べ、5人以上の会合の禁止と夜9時以降の営業制限を継続。直系の親族でも住所が違っていれば集まることを禁じ、旧正月の間もこのルールが適用されることになりました。(出典:https://newsdekorean.com/script/144-x/

帰省もできない旧正月(ソルラル)

そのため、2020年の秋夕(チュソク)に続き、2021年のソルラルでも親族が集まることは難しいでしょう。

「昨年の秋夕(チュソク、中秋節)に故郷を訪問できなかった方たちは非常に残念だろうが、今年の旧正月も直接会うことより心を共にすることが家族のための配慮であり愛である」と韓国の首相は国民への理解を求めています。(出典:wowkorea.jp)

例年ソルラルの時期になると、百貨店は、色とりどりの韓服と、高級韓牛や高麗人参の漢方などのお歳暮セットを購入する人でごった返します。しかし今年は、買い物客も減少。たとえお土産を買っても、新型コロナの影響で帰省することも、友人同士で集まることもできません。

贈答品を送り合うことで親交を確認する

このように旧正月に直接会えないため、贈り物を送る人が増えています。互いに送りあうことで、親交を温めようとすることが例年以上に多くなっています。

例えば、ソルラルの贈答用向けの牛肉(韓牛)処理は、普段の生産量の6倍、1日18tの処理に追われていると、韓国の大手スーパー「e-mart」は明らかにしています。

まとめ

韓国の旧正月ソルラルはコロナの影響を大きく受け、いつも通りの盛大なお祝い事が出来ない事態になってしまいました。1年に一度の家族との再会や帰省も叶わなくなってしまった今、家族で過ごすことを大切にしている韓国の人々にとっては、大きな痛手でしょう。

ただ、コロナの現状を考えると、今皆が結束して危機を乗り越えなければ、さらに自粛期間が延長され先の見えない不安な日々を迎えることになるはずです。

コロナが収束し、家族みんなが安心して集まれるように、今回の旧正月は国民皆で積極的に防疫に参加すべきではないでしょうか。

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