ベトナムの食品事情(前編)

ベトナム

今、ベトナムが日本の農作物の有望な輸出先として注目されていることを、多くの方はまだ知りません。

そこで、今回はJETRO-ジェトロ-(日本貿易振興機構)がまとめたレポートを基に、ベトナムとは一体どんな国なのか、なぜベトナムが有望なマーケットと見られているのかについて解説していきます。

ベトナムがなぜ有望なマーケットなのか?

人口と都市住民の増加

2020年現在のベトナムの人口は9,734万人に達しており、これからさらに人口が増えていくことが予想されています。2030年には7%増の1億416万人に達する見込みです。

特筆すべきは、購買力の高い35-59歳の人口増加率です。現在の35-59歳の人口は「3,245万人」ですが、これが2030年には14%増の「3,708万人」に至ると見込まれています。さらに、一人当たりのGDPは2019年時点では「2,715USD」でしたが、2030年には「1万USD」に達するという試算も出ています。

また、ベトナムの都市圏住民のGDP平均値(1人あたり)は、ベトナム全体の平均値と比べると非常に高くなっています。

ベトナムは購買力の高い年齢層の増加率が高く、さらに購買力の高い都市部住民が多いということが分かります。今後ベトナムは、有望なマーケットに成長することは間違いないでしょう。

ベトナムの食事の特徴

近年、ベトナムでは、生活習慣病や肥満の急速な増加により、健康と食品安全への関心が高まっています。食品を購入する際には「食品ラベル」を見て、使用されている食材をよく確認してから購入する人が増えています。

ベトナム人の主食は米・米粉ですが、白飯・麺類・餅・蒸し物・ライスペーパーなど、バラエティ豊かに形を変えています。歴史的背景では、中国とフランスの影響を強く受けていて、コーヒー・サンドイッチ(バインミー)・中華麺なども日常的に食されています。

ベトナムの国土は縦に長いので、気候が地域によって大きく異なります。また、かつて南北に分断されていたこともあり、住民の気質や文化の差が大きな国とも言えます。私たちの身近な感覚で例えると、東京と大阪の県民性の違いをさらに強調したような感覚でしょうか。

そのようなわけで、食文化や味覚の好みに大きな違いがあります。北部は中国の影響を強く受けていて、塩や味噌を使った味付けが好まれています。一方、南部はココナッツやキビが多く収穫できるので、甘い味付けが好まれています。また、中部では、唐辛子や胡椒を効かせた刺激的な味が好まれています。

ベトナムの食事の最近の傾向

近年、ベトナムの都市部を中心に食習慣の変化が現れています。都市部の家庭では共働きが多いことに加え、手軽で安価な大衆食堂や屋台が充実しているので、外食する人たちが増えています。JETRO(日本貿易振興機構)によると、ホーチミンでは週5.3回、ハノイでは週3.7回外食をしているそうです。朝食は外食で済ます、というのが一般的なのだそうです。

日本では外食は昼食か夕食のイメージが強く、朝食を外食でというのは珍しいかもしれませんね。ですが、中国や台湾など中華圏の国や地域においては、朝食を外食で済ませることは珍しいことではありません。ベトナムで朝食の外食率が高い要因の一つは、中国の影響を受けているからと思われます。

また、近年の特筆すべき傾向は、食の多様化・ローカライズ化が進んでいるという点です。都市部の若者を中心に食が多様化し、様々な国の料理が広まっています。例えば、タコ焼きなどの日本料理、韓国のチーズトッポッキ、台湾風唐揚げ、ピザ、ステーキなど、挙げればきりがありません。

レストランやファストフードチェーンでは、ベトナム独自の食材を使用したり、伝統料理をメニューに組み込んだりすることでローカライズを図っています。一例をあげると、マクドナルドベトナムでは、ご飯や目玉焼きなどを使った定食を導入しています。マックで定食というのは驚きですね。

親日国であるベトナム

出典:JETRO

上記のグラフは、日本のブランドに対する好感度を示しています。ベトナムはインドネシアやタイと比べても、日本ブランドの食品に対して好印象を持っていることが分かります。

次に、こちらのデータをご覧ください。

出典:JETRO

日本におけるベトナム人労働者の数はここ数年で著しく増加しており、44万人を超えています。これは、日本在留外国人労働者の25.7%を占めています。ベトナムは、在留資格を持つ国籍としては最も多い割合となっています。

在留ベトナム人数が多い理由は、技能実習生制度が大きいと言えます。在留資格の種類を見てみると、ベトナムは「技能実習」が他国に比べて圧倒的に多いことが分かります。とはいえ、仮に技能実習生をすべて差し引いても、中国に次ぐ2位の在留資格者数になります。技能実習以外の分野(留学や専門技術など)にも、魅力を感じてもらえているということでしょう。

これらのことからも、ベトナムは親日的な国であることが分かります。

ベトナムに味噌を売り込む日本企業

上述のように、近年ベトナム人は健康志向で食品の安全性を気にしているので、日本ブランドの食品に関心があります。そのため、多くの日本企業がベトナム進出を試みています。

その企業の一つが、新潟県長岡市で100年以上の歴史を持つ老舗醸造メーカー「たちばな」です。ベトナムのホーチミンに「新潟のアンテナショップ」を出店することにより、ベトナム市場に力を入れています。ベトナムでは辛くて酸味のある味付けが好まれる地域が多いことから、ベトナム人の味覚に合った味噌を調合して販売することなども検討しているようです。

また、「山本醸造株式会社」もベトナム進出に力を入れています。ベトナムだけでなく、シンガポール・マレーシア・香港・台湾・オーストラリア・ドイツ・フランス・アメリカ・カナダなどの国でも展開しています。こちらの企業は35年も前から海外展開を始めている先駆者で、海外向けのレシピや、動画で味噌・醤油の良さをPRすることにより、少しずつ人気を高めていきました。今では、醸造に使う「木樽」を見るために、欧州などからも視察に来るバイヤーがいるそうです。長年PR活動を続けてきたことで、世界中から高い評価を得ているようです。

日本伝統の調味料である「味噌」は各国の料理に新たな風を吹かせることができるのか、今後の展開にも期待することにしましょう。

まとめ

ベトナムは近年、人口・経済力ともに急速な伸びを見せている国であることが分かりました。そして、日本に対してポジティブな印象を抱いている国でもあり、多くの人たちが日本に来ています。日本の食品に対しては好印象を持っていて、多くの日本企業がベトナムへの展開を検討しています。ベトナムは、今後の発展が見込まれる有望な市場です。

いかがでしたか?後編では、ベトナムの富裕層の特徴や今人気が高まっている食材について報告します。ぜひ、続けてお楽しみください。

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