メイク・イン・インディア政策について(後編)
はじめに
インドの「メイク・イン・インディア」政策によって、海外の企業、特に「製造業」の進出が歓迎されています。日本企業もすでに進出し始めています。
インドは2027年には人口が世界一になると予測されています。今後の経済発展の可能性を大いに秘めた国「インド」について、前編と後編に分けて特集しています。前編もご覧ください。
輸入は制限、投資は歓迎
輸入は制限
インドでは、国内の製造業を守り発展させるために、外国製品の関税を高くしています。2021年は、充電器や携帯電話のプリント基板、冷蔵庫、エアコンのコンプレッサーの関税が引き上げられました。2020年10月は、冷媒入りエアコンの輸入を禁止しています。このように輸入に関しては、かなり厳しい措置をとっています。
投資は歓迎
輸入には制限をかける一方、投資に関しては歓迎の意向を示しています。JETRO(日本貿易振興機構)の報告では、通常は25%~30%の法人税がかかるところを、新たに進出する製造業には15%にまで引き下げる(*各種条件あり)とのことです。すでにインド進出している企業でも、投資の拡大のために、別の企業を設立することも始めています。このような投資を歓迎するインドの政策により、株式市場の株価も急騰しました。
メイク・イン・インディアの弱点は?
インド政府は、コロナウイルスの蔓延で対応に追われており、財政が厳しくなっています。そのため、現在は「メイク・イン・インディア」政策を推し進めること、各種補助金や減税による外資企業のインド進出サポートを続けることが難しくなっています。今後、インド政府はまず国の財政の立て直しを図るでしょう。
また、インドには、労働法制や土地の収用に関する法律が複雑であるという課題が残されています。その結果、外資企業のインド進出が妨げられている現状もあります。インド政府もこの点を認めており、労働法の改正や、土地買収に関する法整備を進めてはいますが、まだ不十分であると言われています。今後の改善を期待しましょう。
チャイナプラスワンの有力候補
インドの「メイク・イン・インディア」政策は、上記のようないくつかの課題が残されていますが、全体としては、インドの製造業は今後も発展してゆくと思われます。そして「チャイナプラスワン」と呼ばれている、海外の生産拠点を中国以外に構えるという動きがありますから、企業の「インド進出」は可能性大と言えるでしょう。人口増加に伴う数々の問題があるとしても、今後インド国内マーケットの規模は拡大していくでしょう。インドが有望な国であることは間違いありません。
まとめ
インドは経済発展のために、外国の企業の進出を強く望んでいます。日本の進出は、特に大歓迎です。まだ残されている課題はありますが、全体的に見ると、インドは経済発展の可能性が非常に高い有望な国なのです。今後、インドの「メイク・イン・インディア」政策がどのように発展してゆくのか、見守っていきましょう。インド進出をお考えの企業が、成功することを願っています。