ベトナムのビール事情2021

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はじめに
日本では1996年をピークに、アルコールの消費量が減少の傾向にあります。最近の若者のアルコール離れは増えつつありますが、習慣的にお酒を飲む人の数はすべての年齢層で減っています。
また、アメリカでは、お酒は飲めるけどあえて飲まないという選択をする「ソーバーキュリアス」というライフスタイルを選ぶ人たちが増えています。さて,ベトナム人はどうでしょうか?今回は、ベトナムのビール事情、アルコール事情についてみていきましょう。
ベトナムのビール事情
1人43リットルを消費


出典:キャピタル アセットマネジメント株式会社
ベトナムはビール好きの国で、アルコール消費のほとんどはビールが占めます。
キャピタル アセットマネジメント社の「ベトナム・リサーチ・レポート」によれば、ベトナムのビール総消費量はアジアで中国、日本の次に多く、年間で42億リットルになります。これは人口比で考えると、一人当たりのビール消費量がかなり多い計算になります。
実際にこのグラフによれば、ビールだけで年間43リットル消費していることになります。ちなみに、キリンビールの調べによれば日本は年間38リットルです。
アジア第3位の消費国
2018年、2019年の国別ビール総消費量で世界一、ランキングトップに立ったのは世界一人口の多い国、中国です。これは、人口が多いので総消費量も世界一多いのは当然と言えるでしょう。一人当たりの消費量はそんなに多くありません。
中国に次いで、アメリカ、ブラジル、メキシコ、ロシア、ドイツ、日本と続きます。日本のビール総消費量は世界7位です。日本の次はイギリス、その次はなんとベトナムです。なんと、ベトナムは世界ランキング第9位なのです。
アジアで見てみると、ベトナムは中国、日本、に続いて第3位です。しかし、注目すべきことに、ランキングトップ10にいる国は日本を含め半数以上が前年と比べると消費量が減っていますが、ベトナムは大幅に増加しています。
ベトナムのビールのシェア


出典:キャピタル アセットマネジメント株式会社
キャピタル アセットマネジメント社の「ベトナム・リサーチ・レポート」によると、以下のようになっています。
・サイゴンビール(Sabeco:SAigon BEer alcohol beverage COrporation) 43%
・ハイネケン(オランダ) 25%
・ハノイビール(Habeco:HAnoi BEer alcohol beverage COrporation) 15%
・カールスバーグ(デンマーク) 8%。
残り約9%はその他。
なぜノンアルコールビールが注目?
ベトナムの「アルコール被害防止法」が背景
Slofiaによるとベトナムでは、2019年6月に国会でアルコール被害防止法(Nghị định 100/2019/NĐ-CP: Mức phạt với người uống rượu, bia điều khiển phương tiện tham gia giao thông)が可決され、2020年1月より施行されました。
ベトナム全体のビール消費量は、2008年はアジアで第8位だったのが、前述のとおり今はアジアで第3位の消費量にまで増えています。
経済が発展し、国が豊かになった一面、アルコールの乱用やアルコール依存症などさまざまな病気の発生が社会問題になっています。また、毎年約100万人が18歳に達しビールを飲めるようになっていることも懸念されています。
アルコール被害防止法の内容とは?
まず、新しく施行されるこの法律が施行前の法律と異なる最大のポイントは、アルコールが残る状態での運転が一切禁止されたことです。
ビールや酒類を摂取した場合、飲酒量に関わらず、自動車、バイク、自転車、鉄道の運転がすべて禁止されるようになりました。また、血液中または呼気中のアルコール濃度別に罰則が設けられ、自動車を飲酒運転してアルコール濃度が血液100ミリリットル中に80ミリグラム以上、または呼気1リットル中に0.4ミリグラム以上含まれていた場合、即免許取消処分に加えて最大で罰金約20万円、24カ月免許停止などと、施行前の法律と比べても罰則がより厳格になっています。


このほかにも、晩の18:00から21:00まで、いわゆるゴールデンタイムと呼ばれる時間帯の酒類の宣伝の禁止、子供向けのテレビ番組については酒類の宣伝の全面禁止、他人への酒類の強要やそそのかし、勧誘などの行為の禁止やベトナムで未成年とされている満18歳未満への酒類の販売や提供の禁止、アルコール度数15%以上の酒類の広告の禁止が、今回のアルコール被害防止法で決められています。
ベトナム発のノンアルコールビール
ベトナムのビールのシェア
このような社会背景もあり、ベトナムでもノンアルコールビールに注目が集まっています。


http://sabibeco.com/より引用
サイゴンビール(Sabeco)が、「SAGOTA(サゴタ)」ブランドでノンアルコールビールを販売しています。これが、ベトナム産初のノンアルコールビールです。
「アサヒスーパードライ」ブランドに「アサヒドライゼロ(Asahi DRY ZERO)」があるように、SAGOTAブランドの中でノンアルコールビールが扱われています。両端の金色と緑色の缶がアルコール5.0%の普通のビール「SAGOTA GOLD」と「SAGOTA PREMIUM」、両端から一つずつ内側にある青色と黄色の缶がアルコール0.0%のノンアルコールビール「SAGOTA ALCOHOL-FREE」とアルコール4.3%のライトビール「SAGOTA LIGHT」です。
一時期は日本でも、KALDIが青色の缶のアルコール0.0%のノンアルコールビール「SAGOTA ALCOHOL-FREE」を100円以下で販売していたようです。
ハイネケンもノンアルコールビールを発売


https://www.heineken.com/global/en/our-products/heineken-0-0より引用
VIETJOによれば、2020年にハイネケンもベトナムでノンアルコールビール「ハイネケン0.0」を発売しました。これで、ハイネケンが初めてノンアルコールビールを生産することになります。
「ハイネケン0.0」は、上述の「SAGOTA」に次いで、ベトナムで2番目のノンアルコールビールになっています。
まとめ
今回は、ベトナムのビール事情と注目されているノンアルコールビールについてご紹介しましたが、いかがでしょうか?
ビールをこよなく愛するベトナムには、たくさんの銘柄のビールがあります。ベトナム産のビールはほとんどがさっぱりしていて飲みやすい口当たりです。コロナが落ち着きベトナムに旅行される際に、また日本のスーパーやベトナム食材店で販売されていたりもしますので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
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