Withコロナのホテル業界の新たな切り口・ワーケーションとは?

インバウンド需要

コロナ禍によって甚大なダメージを受けた宿泊・観光業界。しかし、「3密を避ける」「人流を減らす」といった取り組みの中だからこそ生まれた「ワーケーション」という新たなワークスタイルが注目を集めています。

観光業界の救世主になるかもしれない――中にはそんな期待感を抱く人々もいます。

そこで、今回は今話題のワーケーションがどのようなものなのかについてご紹介していきます。ワーケーションが旅行業界の切り札となるのかどうか、その目でぜひ見極めてみてください。

ワーケーションとは?

ワーク+バケーション

コロナウィルスの影響で急速にテレワーク(リモートワーク)が普及する昨今。インターネットが通じてさえいればどこでも仕事ができる環境が整いつつあります。

これを利用して、仕事場を会社や自宅などではなくリゾート地や温泉地に置き換えることで休暇気分で仕事ができるという新しいワークスタイルが生まれました。これをワーク(仕事)+バケーション(休暇)で「ワーケーション」と呼びます。

旅行需要の減少により大きな打撃を受けた観光業界では、この新たな働き方であるワーケーションこそがウィズコロナにおける希望になりうるのではないかと期待されています。

コロナ前から平日と休日の稼働率の違いは問題になっていた

皆さんは旅行を計画するならどの時期を選びますか?

多くの人はお盆休みやゴールデンウィークといった大型連休、あるいは土日祝日をターゲットにすると思います。これにより、休日ばかりに旅行客が集まる一方で、平日はガラガラという「平日と休日の格差」がコロナ前から問題となっており、旅行業界としてはこれをどうやって改善していくかが大きな課題でした。

しかし、ここに来てワーケーションという新たな働き方が生み出されたことで、「平日と休日の格差」を縮めることができるのではないかと期待されています。ワーケーションが普及すれば平日にも一定の需要が生まれ、休日との格差が是正されます。休日の観光地や宿泊地の混雑を緩和させ、施設や客室を効率的に運用できるようになるでしょう。

コロナ禍によってインバウンド需要が消失して苦境に立たされている旅行業界のラストリゾートとなりうるかどうか、今後のワーケーション事業の展開にぜひ注目してみてください。

7割が認知も実施率に課題が

テレワークであれば、インターネットさえつながっていればどこでも仕事ができます。であるならば、都会の喧騒を離れて雄大な自然に囲まれながら静かに仕事をし、仕事を終えたら疲れた体を温泉で癒す――そんな優雅な一日を過ごしてみたいと皆さんも一度は夢想したことがあるのではないでしょうか。

しかしながら、実際にワーケーションを実施した人の割合は非常に少ないのが現状です。観光庁の行った「ワーケーション、ブレジャーの活用実態に関する調査(2020年12 月~2021 年1月)」によると、実施した経験があると答えた人の割合は全体のたった「4.3%」に過ぎませんでした。

出典:観光庁「ワーケーション、ブレジャーの活用実態に関する調査」

これが単にワーケーションの知名度が低いことだけが理由であるならば、知名度を高めることで実施する人も増えてくるだろうと考えられます。しかし、上のグラフを見てもらえれば分かるように、実際には知名度は7割にも及んでいます。つまり、ワーケーションは知っているが、実際に自分がやろうとは思わないという人が非常に多いことを示しています。

それを物語るように、観光庁によるワーケーションの興味関心度調査肯定的な回答をした人は全体の「28.2%」だったのに対し、否定的な回答をした人が「38.4%」にも及んでいます。

出典:観光庁「ワーケーション、ブレジャーの活用実態に関する調査」

ワーケーションの知名度を上げる取り組みだけではなく、どうやってワーケーションに対する興味関心を持ってもらえるか、そしてその上でどうすれば実施するまでに至ってもらえるか。それらに対する解答を見つけ出せるかどうかが今後のカギとなってくるでしょう。

会社の仕組みがワーケーションの妨げに?

観光庁の調査によると、ワーケーションを知っているのに実施しない理由としては、「テレワークができない仕事だから」が最も多く挙げられています。つまり、会社の仕組みそのものがワーケーションの妨げになっているのが現状なのです。

出典:内閣府「第3回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行
動の変化に関する調査」


こちらのグラフを見ると、まだまだ日本ではテレワークが浸透していないのだということがよくわかります。これではワーケーションも普及しません。

ですから、まずはテレワークそのものが増えていくことが重要です。各企業が今一度社内の仕組みを見直し、テレワークを前提とした制度改革・構造改革を進めなければいけません。そして、そのためには観光業界自身も可能な業務については率先してテレワークを導入し、自分たち自身がワーケーションを経験することでブラッシュアップしていくことも重要でしょう。

残念ながら、現状ではまだワーケーションによる消費額は微々たるものかもしれません。しかし、今回のコロナ禍によって「既存の需要に頼ることの危険性」を多くの方が認識したはず。常に新たな旅行需要を生み出して育てていくことが将来的な備えとなるのです。

ワーケーションが普及することは、いつか必ず観光業界にとってプラスになるでしょう。ぜひ、普及に向けた活動を少しずつであったとしても地道に行っていただきたいと思います。

まとめ

コロナ禍によって打撃を受けた旅行業界には、生き残るための「変化」が求められています。そして、求められた変化の中から生まれたのが「ワーケーション」という新たな需要です。

現状では旅行業界の中ではほとんど存在感のないワーケーションですが、育てればいつか必ず切り札になりうるものです。ぜひ、旅行業界全体でワーケーションという新たな需要を後押ししていきましょう。

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