外国人は日本の飲食店をどう感じている?そして、今後の改善点は?

はじめに

世界中でコロナ感染症が拡大し、人々の生活が大きく変化してきました。日本でも訪日外国人が入国できなくなり、外国人客をターゲットにしていた飲食店は特に打撃を受けています。

多くの人がまた外国人旅行者を迎えて、以前のような活気を取り戻したいと願っています。旅行者の受け入れはまだ先かもしれませんが、アフターコロナに向けて、今からインバウンド再開の準備をしておくのはいかがでしょうか。外国人が日本での滞在を楽しめるようなお店作りの参考になる情報をお伝えしたいと思います。

ここでは、農林水産省の報告をもとに、外国人のリアルな感想をお伝えしていきます。

参照資料:農林水産省「日本の飲食店に対する訪日外国人旅行者の評価」

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/eat/attach/index-5_Part4.pdf

外国人が利用した日本の飲食店

参考にした情報は?

多くの人は、来日前に情報収集をしてくるようです。

ほとんどの国で共通している情報収集の方法は TripAdvisor や Google 検索の活用、ガイドブックの情報、友人からの情報などです。また、各国ごとによく使われている口コミサイトを利用する人もいます。日本の「食べログ」や「ぐるなび」のようなサイトです。

例えば、中国にはdianping.com(大衆点評)というサイトがあります。日本の飲食店が紹介され、そこに評価点数や行った人のコメントが載せられています。

多くの人が利用するサイトで、やはり評価の高い店ほど人気があります。台湾人もブログや旅行関連のウェブサイトを参考にしています。香港では訪日前に Google 検索で調査する人がほとんどのようです。韓国人も同じく Google 検索で情報を集める人が大半のようですが、日本に何度か来ているリピーターは、日本人の好む店を探したり、道中で気になった店に立ち寄ったりすることもあります。

タイでよく使われているのは、Pantip というウェブサイトです。タイで最もよく閲覧されているサイトで、投稿数も多いです。コロナの影響を受ける前は東南アジアの中でタイからの訪日観光客が最も多く、Pantipを使って情報収集がされていました。

アメリカの場合、ビジネスで訪問する人も多く、日本の状況に精通する人が推薦する店を選ぶ人も多く見受けられました。観光客の場合は、TripAdvisor また機内情報誌から得られる情報を参考にする人が多いです。オーストラリアからの観光客は、初めて来日する際はあまり調査をしていなかったという人も、再度来日する時は旅行者の口コミなどを調べるという人もいるようです。

事前調査をしない人は、訪日してから観光場所や宿泊場所の近くで飲食店を探すようです。ほとんどの人がスマートフォンを持っているので、現在地付近の飲食店を探すのもそれほど難しくないようです。

何を食べたか?

人気のメニューは代表的な日本食である寿司、天ぷら、ラーメンです。日本に来たからには、日本人がいつも好んで食べているものや、人気のあるものを食べたいという気持ちは理解できます。生の魚を使っている寿司はやっぱり苦手だという人もいますが、食べてみたら気に入ったという人も多いです。新鮮な魚が食べられてうれしいという意見もあります。とんかつや鉄板焼き、お好み焼きも人気です。自分の国にもとんかつはあるが、日本で食べたほうがずっとおいしいという声もあります。鉄板焼きやお好み焼きは、その場で調理して食べられるので、見た目も楽しめてテンションが上がるのかもしれません。

ラーメンはやはり人気があります。コロナの影響を受ける前は外国人が並んで食べていったあるラーメンチェーン店は、SNSによって口コミが拡散されました。特に、とんこつラーメンは外国人にも食べやすい味のようです。中には味はそれほど気に入ったわけではないけど、その店独特のシステムを経験してみたいという観光スポット的な感覚で行く人もいるようです。

ファミリーレストランで食べた豚の生姜焼きがおいしかったという人もいます。丼物も人気がありました。

和牛やうなぎ、カニを食べたという人もいます。高級な感じがしますが、せっかく日本に来たのだから日本でしか味わえない美味しいものを食べていこう、と考える人もいるのでしょう。

どこで食事したか?

食事場所は大手飲食チェーン店から個人経営の店まで様々でした。ファミリーレストランや居酒屋チェーン店は比較的入りやすいようです。駅前のデパートや商店街で食事をしたという人もいます。

主にホテルを利用したという人もいます。ホテル内にも立派なレストランがありますし、一日観光をした後は、ホテルでゆっくり食事をして早く休みたいと思うのかもしれません。中には、夜はスーパーで食べ物を購入して、宿泊施設で食べたという人もいました。

日本人の知り合いがいる人は、一緒に現地の居酒屋に行ったという人もいますし、日本人が好きな地元の和食屋に行ったという人もいます。日本の味と文化が楽しめますね。

東京オリンピックで日本に来た外国人選手が日本のコンビニの食べ物を絶賛していましたが、日本での食事はコンビニ、スーパーを利用したという人もいます。最近のコンビニのメニューは豊富で、見た目にもきれいです。実際に見て、好きなものを選んで食べるというのも楽しいかもしれません。

店を選ぶ際に重視したことは?

店選びで最も重視されたのはやはり味です。口コミの評価が高いところが選ばれています。知名度の高いところに行くようにしたという意見もあります。おもしろいことに、店頭に人が並んでいるかどうかで人気店かどうかを判断したという人もいます。

もちろん、コストパフォーマンスも大切な要素ですし、店の外観も重要です。入りやすさ、清潔さはどの国の人にとっても高評価のポイントです。メニューを見て判断するという人もいました。自国に進出していないこと、ご当地グルメや特色のある料理を提供していることを重視している人もいます。

小さい子供や高齢者が一緒の場合は、待ち時間が少ないことも重視されます。

外国人が日本の飲食店で感じた「困ったこと」

何に不便さを感じた?

日本での食事を楽しみにしている訪日外国人は多いのですが、同時に「困った」と感じたことも多いようです。

観光庁が行った「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート(平成28年度調査)」によると、一番多かったのが「スタッフとのコミュニケーションがとれない」ことでした。外国人旅行者に対して、外国語を話せるスタッフが少ないという問題があることがわかります。次に多かったのが「無料の公衆WiFiがない」ことです。飲食店に関する情報を調べるためにスマホは重要なツールなので、WiFi環境は必須といえます。「多言語表示が少ない・分かりにくい」という問題点もあげられています。

下の表からわかるように、外国人旅行者がコミュニケーションに困った場所は、圧倒的に飲食店です。

どのような場面が不便だった?

飲食店でコミュニケーションが取れずに特に困ったのはどんな場面でしょうか?

下の表にもありますが、最も多かったのが「メニューを選ぶ時・注文する時」です。メニューの写真だけ見てもどんな料理なのか、量はどれくらいなのかイメージしにくいかもしれません。今まで一度も日本料理を食べたことがなければなおさらです。また、メニューが日本語でしか書かれていなければ、漢字を使う国の人以外は想像すらできません。注文する時になんと言えばいいのかわからない、店員から質問されてもどうしていいかわからないというのは不安なことです。

今後求められる飲食店の改善ポイント

外国人が望んでいることは?

「メニュー」については、写真・イラスト付きのもの、多言語表示にしてほしいということです。言葉による説明よりも、視覚で直感的に理解できるわかりやすいものを求めています。約半数のアンケート回答者が注文時に使える指差し確認シートを、約4割の回答者がタブレットの使用を最も必要なコミュニケーションツールとしてあげています。

「料理」の説明の仕方で多かった要望は、どんな料理なのか、どんな味付けかという説明をしっかりして欲しいということです。特に宗教上の制約やアレルギーのある人は、使っている材料を正確に知りたいと思っています。

「精算方法」に関しても、現金ではなくクレジット決済、モバイル決済が人気です。電子マネー、スマホ決済に関して日本は少し遅れを取っていますが、世界のほとんどの国ではこの方法が主流です。外国の通貨を理解するのは大変です。お釣りを受け取っても正しいかどうかも分かりません。電子的な方法で支払いができればとても便利で安心だと感じるのではないでしょうか?

「多言語対応」を徹底する

外国人旅行者にとっては、飲食店を探す時から難しさを感じる点が多々あります。「何料理のレストラン?」「どのような料理なの?」「どうやって食べるの?」などを知りたいはずです。私たちも外国に行って、日本語で正確に表示されていたら安心ですよね?

外国人が「多言語表記」で不満に感じているのは、以下の点です。

店までの案内に外国語表記がないことも不満の一つに挙げられています。店頭の看板もいくつかの言語やローマ字での表記が求められています。歓迎の言葉に自国のものがなくてがっかりした人もいます。食品サンプルや写真と一緒に外国語表記があれば喜ばれます。店に入る前にどんな料理を提供している店か、クレジット決済やモバイル決済が可能か、なども知りたいと思っています。

メニューに写真があっても日本語表記だけだった、外国語表記があっても間違っていたという声もあります。長い説明文ではなく、簡単な説明のほうが喜ばれます。使っている素材の説明は特に重要視されます。宗教上の理由で食べられない食材がある外国人は多いですが、説明が不十分、わかりにくいと感じています。コース料理が提供される店の場合、料理の並び方、提供の順番、食べ方についての説明が不十分でよくわからなかったという人もいます。

「システム」を説明し、整備する

外国人は日本の飲食店の「システム」が分かりません。どんなことが分からないのでしょうか?

例えば、注文の仕方や食べ方で戸惑うことがあります。多くの居酒屋で提供されるお通しですが、外国人にはその仕組みが理解できません。日本人にとっては普通のことでも、外国人にとってはなぜ頼んでもいない料理が出てくるのか、費用はどうなっているのかが分からないからです。外国で支払うチップに似ているのですが、説明されなければわかるはずがありません。

精算の仕方でも困ったと感じています。テーブルではなくレジで支払わなければならないこと、現金での支払いが難しいことなどです。また、席料、サービス料がなぜ含まれるのかが理解できません。理解できれば日本の習慣はこういうものなんだと思えるのに、説明がないとただ不満だけが残ってしまいます。

外国人旅行者にとって重要なWiFi環境も無料で使えないととても困ります。使えたとしてもパスワードの入力を面倒、不便と感じた人もいました。

以上のことから、飲食店の「システム」と「料理」について、正確でわかりやすい「多言語表記」が必須だということがわかります。日本特有のシステム、サービスについては特に必要です。

また、外国人がいつでもどこでもネットで調べられるように「無料WiFi」の設置も必須だといえます。

外国人の宗教や習慣を尊重する

旅行中の「食」はとても大事です。さまざまな国から旅行者が訪れるので、それらの外国人に対応できるメニューを準備するなら、歓迎されていると感じてもらえます。日本では少ないかもしれませんが、宗教上の理由や習慣で食べないものがいくつかあります。それらに配慮したメニューの開発も必要かもしれません。

下記の表を参考にしてください。

まとめ

外国人の生の声を調査して、飲食店の利用に関してどんなことを不便に感じているかが見えてきました。日本人にとっては当たり前でも、外国人にとっては「なぜ?」「どうして?」「不思議!」がたくさんあるのです。外国人が日本を旅行する時に、どうしたらもっと楽しんでもらえるか、改善点も分かりました。アフターコロナのインバウンド対策にぜひ役立ててください。

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