訪日旅行数が多い国、今後の可能性が高い国

インバウンドが復活した今取り組みたい施策

はじめに

インバウンド再開が見えてきました。
約 3.3 億人(JNT調査結果)と推計される訪日旅行の潜在的な市場規模を考えると、また再び日本が世界中からの観光客を迎え入れる観光大国として復活することが望まれます。今後私たちがその地位を保つためには、訪日観光客の動向を細かく知ることが必要です。
2022年4月に日本政府観光局(JNTO)が海外旅行経験者を対象に、東・東南・南アジア、欧米豪、中東諸国など世界中の重点22 市場で実施した訪日旅行意向に関する調査をもとに、各国の訪日傾向と、日本旅行への興味について概観してみましょう。

参照記事:JNTO

各国の訪日回数は?

東アジア諸国

東アジア諸国を見てみると、どの国も訪日のリピーターが多いのが特徴です。

海外旅行実施者数、および訪日人数がダントツで多いのは中国。うち40%強が1回は日本を訪れており、リピーターはその半数です。とはいえ、まだ日本未訪問の方も6割ほどいますので、今後も、ターゲットとなり得る大きい市場といえるでしょう。
韓国は、海外旅行経験者の8割が一度は日本を訪れており、うち5割強がリピーターです。日本からとても近い国である韓国では、海外旅行者の多くが渡航先に日本を選んでいるということです。
香港と台湾に関しては、訪日したことがない方の割合が2.1%と9.4%と非常に低く、海外旅行実施者の約4割が生涯の訪日旅行回数が4回以上。1度訪日した方は、もうすでに日本をよく知っているということでしょう。

出典:JNTO

東南アジア諸国

東南アジア市場の海外旅行実施者数と訪日旅行経験率(推計)を見ると、シンガポールを除いてほとんどの国の人たちは、まだ日本旅行をしたことがないことが明らかです。マレーシア、インドネシア、ベトナムに関しては、海外旅行実施者中8割を超える人たちが日本を訪れたことがありません。ただし、マレーシアを始めベトナム・タイなどは、海外旅行実施者数が多いため、今後の訪日旅行者になる可能性が高いことがわかります。

出典:JNTO

欧米豪・インド・中東諸国

上記の他、欧米豪・インド・中東の国々で距離が比較的遠い国の訪日旅行経験について見てみましょう。訪日旅行経験が最も多いのは、アメリカで、中距離海外旅行実施者全体の6割に訪日経験があり、未訪日は4割程度。訪日経験者の中で半数以上がリピーターとなっています。

絶対数としては少なめですが、次に訪日旅行経験が多いのは、オーストラリアやカナダです。他の国、ヨーロッパや中東地域の国々は日本を訪れたことがある人たちが2割~1割以下と圧倒的に少なく、イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・インド・ロシア・中東は8割から9割の、ほとんどの人たちが訪日したことがないようです。

出典:JNTO

各国の訪日旅行の関心度は?

これらの調査結果をもとに、日本への旅行を検討し実際に行動するまでの外国人の心理的変化を段階別に分けて、訪日への関心の度合いを見てみましょう。日本への関心度別に、「無認知」「認知」「興味関心」「比較検討」と、4段階に分けています。

全体として、日本旅行への興味関心を持ち、日本の観光地やアクティビティについての知識を持っていて旅行先として検討している国の割合は高いと言えます。

日本に近い地域の国であればあるほど日本旅行への興味関心を示す傾向は高く、「無認知」つまり、まだ日本をよく知らない、または旅行先として考えていない人の割合は低いようです。

東アジア・東南アジア

台湾と香港は、日本の観光資源に興味・関心を抱いている「興味関心」、日本を旅行先に検討している「比較検討」の率が非常に高く、「無認知」は1~2%以下。さらに、台湾と香港のほか、韓国、シンガポール、フィリピンも含め、旅行先として観光資源を認知している「認知」とともに「興味関心」「比較検討」の合計が約9割となっており、ほとんどが日本をよく知っていることがわかります。

一方、ベトナム・タイ・中国・マレーシアは、日本の観光資源に「無認知」の人たちがまだ2~3割程度いるのが現実です。今後のインバウンドを考えるうえでは、これら日本を「無認知」の人たちにどうPRするかがカギになるのかもしれません。

出典:JNTO

欧米豪・インド・中東

日本から距離が遠い国になると、全般的に「無認知」の割合が高いことが顕著です。特にイギリスやドイツでは5割以上、中東地域になると7割以上が、カナダ、イタリア、フランス、ロシア、インドを含めた他の諸国も3割強もの人が、無認知となっています。

一方、メキシコ、米国、豪州、スペインは、「興味関心」「比較検討」で7割に達するほど高い比率を示しており、一定層が日本への関心を示しているのも事実です。

思った以上に、遠くの国の人たちも日本旅行への興味関心を持っているようです。したがって、今後の日本の魅力のPRをいかにうまく行っていくかがインバウンドの成否を決めるカギなのではないでしょうか。

欧米豪は「日本文化」をよりよく知ることができる高品質な旅行を希望しており、富裕層が多いのも特徴です。中東地域に関しては、旅行が好きな富裕層が多いうえ、まだ日本に来たことのない人たちもたくさんいるのです。

今後はそれらの人たちをターゲットにすることができるはずです。それには、富裕層向けの旅行プランを独自に用意し、提供するサービスと旅行プランの見直しをすることが必要でしょう。

出典:JNTO

日本の「地方」に興味がある?

訪日旅行者が今後、日本のどんなところに興味や関心を持って訪れようとしているのかを見てみましょう。

訪日旅行リピーターが最も多い東アジア、東南アジアでは、7割超の人が、すでに行ったことのある東京都、大阪・京都などの大都市やメジャーな観光地ではなく、それ以外の地域を訪問したいと回答しています。まだ見たことも体験したこともない日本の地方のエリアに新しい観光の目的を見出そうとしているようです。

一方、日本が旅行先としてまだ十分に認知されていないカナダ、イギリス、ドイツなどでは、日本の地方エリアへの訪問を希望する率が低い傾向が見られます。また、欧米豪・中東の中で日本の認知率が比較的に高いアメリカとオーストラリアなども、地方エリアの訪問希望は約半数ほどと、同様の低い傾向を見せています。

訪日の際の地方エリア訪問希望者は、地方エリアへの興味関心を持っているとともに、同時に東京、大阪、京都などの大都市も訪問したいと回答していることが特徴です。

今後のインバウンドを考えるうえでは、地方での観光やアクティビティの充実を図ることを視野に入れて施策を練るべきでしょう。

出典:JNTO

まとめ

世界中にたくさん存在する海外旅行好きの人たちにまだ十分に日本の良さが知られていないという実態は、日本の観光業界にとって大きなチャンスだといえます。ですから、日本をまだよく知らない人たちに対しては、日本を見たい体験したいと思えるような魅力的なPRをすることが重要です。

日本をすでに訪問している人たちは、まだ行ったことのないエリアにも魅力的な場所や日本らしさがたくさんあることをPRしましょう。日本の「地方創生」のためにも、東名阪だけでなく地方でも外国人の受け入れ準備を整えることが必要です。

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