ウィズコロナ時代を生き抜くための取り組み 様々な業種の支援プロジェクト編

ウィズコロナ時代を生き抜くための取り組み

新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う外出自粛・移動規制により、わたしたちの生活は一変しました。緊急事態宣言が解除され、感染者もピークを打ったように思われますが、油断すると第2、第3の感染の波が襲ってくる可能性が高く、ワクチンが開発されるまで何らかの制限が続くと考える人は少なくありません。

「ウィズコロナ(コロナウイルスとの共存)」を覚悟しなければならない中、これまでの日本経済を支えてきたさまざまな業種の疲弊を心配する人が大勢います。このコラムでは「さまざまな業種の支援プロジェクト編」として、さまざま民間企業や個人の取り組み事例を6つ紹介していきます。

様々な業種の支援プロジェクト

「日本を癒すプロジェクト」コロナの影響で危機的な全国のサロンとセラピストを支援するプロジェクト

日々、疲れた人々をプロの技で癒してきたセラピストの方々やサロンが、経営の危機に瀕しています。【日本を癒すプロジェクト】は、昨年、フランスの世界大会で優勝した「世界一のセラピスト」川上拓人さんが発起人となったクラウンドファウンディングで、約300万円の資金を集めて5月に終了しました。

全国のリラクゼーション、ほぐし、整体、アロマ、ストレッチ、ヨガ、リフレクソロジー、タイ古式マッサージ、ロミロミ、エステなどのサロンで利用できる施術券(支援金額から10%上乗せした額をサロンで利用できます)を購入してもらうものでした。自粛が明けたあとの「未来の来店」につながる企画でした。

疲れた人、傷ついた人を癒してあげたい、というセラピストは心の優しい人が多いです。スクールや研修、経験を積んで技術を高めてきたセラピストたちを、今度は、こちらが癒してあげよう、という心温まる企画でした。

 

aeru galleryオンラインショップ「職人さんの手仕事が、人をやさしくする」

 

百貨店の催事や展示会・陶器市の中止、観光客の急減などで、日本の伝統工芸の職人さんたちも難しい状況に置かれています。株式会社「和える」は、こうした職人さんたちを支援するためのオンラインショップ aeru galleryを運営しています。ステイホームで家で過ごす時間が増えるなか、職人さんたちの手仕事による日用品に触れることでほっとして、人にも自分にもやさしくなってほしい、という願いが込められています。

「ついつい木のお手入れをしたくなる『みつろうオイル』」/尾山 嘉彦(尾山製材)、「藍の香りで心穏やかに 本藍染のマスクセット」/矢野 藍秀(本藍染矢野工場)など、自然の風合いを生かした伝統工芸の日用品が購入できます。

また、「和える」社は、自然電力株式会社(代表取締役:磯野謙、川戸健司、長谷川雅也)のパートナーとなり、自然エネルギー電力事業 aeru電気 をスタートさせました。電気料金の1%が職人を応援する基金に活用されます。

 

コロナ危機の碁会所を 応援しよう

全国の碁会所(囲碁サロン、囲碁喫茶・カフェ)も、存続の危機にあります。コロナの第2波・第3波が来ると、業界全体の存続が危うい、との危機感もあります。ある囲碁ファンの方がまとめたコロナ危機の碁会所を 応援しよう」から、オンラインでできる碁会所の応援・支援につながる情報をご紹介します。

東京の湯島囲碁喫茶では、若手棋士によるオンライン囲碁指導を行っています。自宅で気軽に、Zoomでのチャットやビデオ通話で質問もできます。

東京の「カフェと囲碁ひだまり」の店主Mayuさんは、コロナ危機で存続が危うくなった家業の囲碁クラブのため、「世界とつながる未来の囲碁カフェづくりにご協力をお願いします」とクラウドファンディングを募ったところ、2日で最初の目標額の100万円を達成しました。OLをしながらDJ活動をしていたMayuさんは、お母さんの他界で家業を継ぎ、外国人観光客の囲碁体験に力を入れてきました。日本の囲碁文化を世界に広める活動を絶やしたくない、という願いが囲碁ファンに通じた結果です。

 

株式会社アソビュー代表 山野智久氏「災害時緊急支援プラットフォーム」を立ち上げ

 

IT業界の経営者や投資家たちの呼びかけで、「コロナは災害と同じだ。従業員をシェアして解雇を回避しよう」という試みも立ち上がりました。社員を在籍出向という形で、他社に出向してもらう仕組みです。「災害時雇用維持シェアリングネットワーク」をそのプラットフォームとして立ち上げました。

発起人のひとり、株式会社アソビュー代表の山野智久さんは、レジャー産業のチケット予約サイトを経営していますが、コロナ禍で一時的にも人件費を抑えなければならなくなりました。「いつか必ず観光レジャー産業は回復するし、社員を解雇したくない」という思いから、賛同する仲間たちと企画したのです。

災害時に人手が必要になる企業に、在籍しながら出向できることは、従業員にとってもキャリアアップにつながります。多くの反響を呼んでいる斬新なアイデアです。

 

STORESによるネットショップ開設サポート

実店舗を持ったビジネスをしている方々のなかには、コロナの影響でお客様が激減したり、イベントの中止で多くの在庫を抱えている人たちが多くいらっしゃいます。

多くの個人事業主が活用しているネットショップ開設サービス STORESは、実質2か月分が無料になり、販売開始までの個別サポートも受けられるサポートサービス窓口を4月から開始しました(6月で終了予定)。同社は、「誰でも簡単にネットショップを開設できる」のが強みで、さらに個別サポートもあることで、オンラインショップ開設のハードルが低くなり、スモールビジネスの経営者にはありがたい企画です。

 

freee「PowerToスモールビジネス」を開設

 

クラウド会計ソフトで知られる freee社は、特設サイト「PowerToスモールビジネス」を開設し、中小企業・個人事業主を支援する試みを続々と打ち出しています。発注者と受注者が共同管理できて、見積・発注・請求が楽になる「freee 受発注サービスβ版」を無料公開しています。

コロナ関連の助成金の申請では、契約書や発注書が必要になる場合があります。中小企業や個人事業主、フリーランスへの発注は、書類を伴わないことが多くあり、トラブルになりやすいため、証拠を残し、かつ受発注のきっかけとなるようなプラットフォームとして注目されています。コロナ関連の助成金の申請にも役立ち、スモールビジネスの方々には助かる企画です。

 

まとめ

「ウィズコロナ」時代には、「コロナ前」に立案・実施されてきたサービス提供の施策の多くを白紙に戻し、新たな施策を検討する必要に迫られます。さまざまなアイデアを絞って業界の活性化や生き残りという課題に取り組む皆様や、そうした取り組みを支援する善意の企業や個人の皆様に心からのエールを送りたいと思います。ストラテでは、今後もこのような支援の取り組みをレポートしていきます。

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