輸出ビジネスを始めるおおまかな流れ(Part3)
はじめに
どのように輸出ビジネスを始めることができるかのPart3、シリーズの最終回です。
これまでも2回にわたって、輸出貿易に関するおおまかな流れを東京商工会議所の資料をもとにお伝えしました。今回も同資料を参考に、モノやお金の流れと海外取引特有のリスクについて説明します。
参照:東京商工会議所「海外ビジネスハンドブック」
おおまかな流れ
ビジネスとして貿易を行う場合には、基本的な全体の流れを知っておく必要があります。
商品(モノ)を輸出することに加え、書類や決済代金(お金)の流れ、基本となる取引条件をきちんと理解しておきましょう。
モノの流れ
商品(モノ)は、輸出する国から輸入国に到着するまで、以下のような流れで運ばれます。
- 輸出者による出荷
- 通関業者による税関での輸出通関
- 航空会社や船会社による空港や港での積込み(輸出側)
- 航空会社や船会社による空港や港での荷下し(輸入側)
- 通関業者による税関での輸入通関
- 輸入者による引取り
書類の流れ
貿易に係るそれぞれの拠点で、以下のような書類を作成します。
【出荷時】
・相手方との取引条件が盛り込まれた売買契約書
・輸出入通関や代金決済、貨物引取に使われる船積書類
【輸出通関時】
・輸出者が起用した通関業者によって輸出国税関に通告する輸出申告書
【積込み時】
・船会社が発行する貨物の預かり証書である船荷証券(B/L)
【輸入通関時】
・輸入者が起用した通関業者によって輸入国税関に申告する船積書類
【引取り時】
・輸入者は出国時の船積書類と引き換えに、貨物(モノ)を航空会社や船会社より引取る
お金の流れ
モノが輸出され輸入者に渡るのとは逆に、お金は輸入者から輸出者へと流れていきます。
取引額の規模によって商品代の決済方法はさまざまありますが、いずれも外国為替銀行を通じて決済されます。
基本的な決済方法である銀行送金と信用状取引について説明します。
銀行送金
最も代表的な決済手段は、銀行送金です。
現金での取引には前払いでの銀行送金取引が安全ですから、初めて輸出する際には銀行送金を活用するようにしましょう。
信用状取引
取引額が大きい場合には、信用状取引を利用するとよいでしょう。
信用状は、輸入者が開設した銀行が発行する支払い保証。
輸出者は取引銀行から安全に代金を受け取ることができ、輸入者は代金決済後に入手する船積書類で商品を引き取ることができます。
リスクを考慮する
海外取引の場合、国内取引に比べさまざまなリスクが伴うことは避けられません。
第一に、相手方から売上金を期日通りに回収できるかという回収リスクが挙げられます。
また、法やルールが遵守されているかといった規制リスク、そして、為替変動が収益を減らすことへの為替リスクもあります。
これらのリスクを事前に洗い出し、回避する手段を講じることが重要です。
リスク回避には、保険をかけたり信用調査を活用したりする方法が考えられます。
ビジネス初期段階での信用調査を念入りに行い、前払いでの支払い交渉や相手国の輸入規制等への調査も必須。
ビジネス拡大段階では、相手国の政治情勢・経済状況を逐一把握し、事故への保険を備えるなど、万全の準備で挑むことが大切です。
まとめ
3回にわたって、輸出ビジネスを始めるための大まかなフローを解説しました。綿密な計画、リスク回避、フローの理解など、やるべきことがたくさんあります。煩雑ではありますが、まずは流れを理解することが大切です。おおまかにご説明しましたが、役立てていただけると嬉しいです。
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