セミナー事例紹介|熊本電気鉄道株式会社様

地域住民の「足」を守るために。
熊本電気鉄道が挑む、外国人材との「真の多文化共生」とは

労働人口の減少がインフラ維持を脅かす中、熊本電気鉄道株式会社は技能実習生の受入を決断しました。 しかし、本当の課題は「採用」の先にあります。アットグローバルの協力のもと実施された「CQセミナー」によって、現場の意識はどう変わり始めたのか。担当者インタビューとセミナーレポートを通じて、組織づくりへの挑戦の第一歩を追います。(2026年2月)

プロジェクトの成果

  • 課題:初めての本格的な外国人材受入に伴う、現場日本人スタッフの戸惑いとマネジメントへの不安。
  • 実施施策:受入担当者約20名を対象とした「CQ(異文化対応力)セミナー」の実施。
  • 変化:「区別しない」から「違いを前提にする」への意識転換。若手日本人社員への指導にも通じる共通スキルの習得。

危機感と挑戦:インフラを守るための「外国人材採用」

アットグローバル 長野(以下、長野):
本日はよろしくお願いします。今回、スリランカから6名、ミャンマーから1名の技能実習生を受け入れられましたが、その背景にはどのような課題感があったのでしょうか?

熊本電気鉄道 下村氏(以下、下村):
一番の理由は、やはり待ったなしの「労働力不足」です。我々が担っているのはバスや鉄道といった、地域のお年寄りや学生さんの生活を支える重要な「足」です。ここを止めるわけにはいきません。

下村:
過去にインバウンド対応として台湾出身の方を正社員雇用した実績はありましたが、技能実習生や特定技能といった形での本格的なチーム受入は今回が初めてです。まずはバス、鉄道、ホテル、総務の各部門に配属されますが、数年後には「特定技能」への切り替えも見据えています。

現場の不安:「どう接すればいいかわからない」を解消する

長野:
初めての本格的な受入となると、迎え入れる日本人スタッフの方々に戸惑いはありませんでしたか?

下村:
正直、不安の声はありました。「言葉は通じるのか」「仕事の教え方はどうすればいいのか」「文化の違いでトラブルにならないか」。現場の社員は日本人のお客様対応のプロではありますが、外国人スタッフのマネジメントに関しては未経験でしたから。

アットグローバル 角谷(以下、角谷)
多くの企業様が「外国人材への日本語教育」に目を向けがちですが、実は定着の鍵を握っているのは、受入側の日本人のマインドセット(心構え)なんです。そこで今回、実習生が入社する直前の1月末に、日本人スタッフ約20名の方を対象に「CQセミナー」をオンラインで実施しました。

違いを強みに変える。「CQセミナー」実施レポート

CQ(Cultural Intelligence:異文化対応力)とは、多様な文化的背景(国籍、習慣、価値観など)を持つ人々と、お互いの違いを理解した上で、効果的に協力し、成果を出すための能力を指します。

今回のCQセミナーでは、「外国人材の採用」を単なる人手不足解消ではなく、異なる視点を取り入れて組織を強くするための「アドバンテージ」に変えることを目的に実施されました。

以下、講義の一部を抜粋してご紹介します。

マインドセット:「優劣」ではなく「違い」

日本のやり方が「正解」で相手が「間違っている」と判断せず、文化的な特性の違いとしてフラットに捉える姿勢を学習。「人間はみんな同じはず」と違いを無視することも、「分かり合えない」と諦めることも避け、違いを認めつつ共通点を見つけるバランス感覚を養いました。

異文化理解:スリランカ・ミャンマー等の特性
  • 組織 vs 人:日本は「会社」への帰属意識が高いが、対象国は「信頼できる上司・仲間」への忠誠心が強い。人間関係の構築が定着のカギ。
  • 達成 vs 思いやり:成果やプロ意識(達成思考)よりも、助け合いや生活の質(思いやり思考)を重視する傾向がある。人前での叱責は避け、優しく諭すリーダーシップが求められる。
実践:コミュニケーションのギャップを埋める

「言わなくても分かる(ハイコンテクスト)」文化から脱却し、言葉で伝える(ローコンテクスト)文化への切り替えを実践。「適宜」「なるべく」といった曖昧な言葉を避け、説明したことを復唱してもらうことで理解度を確認するなど、具体的な手法を学びました。

受講者の変化:「普通の社員と同じように」は間違いだった?

セミナー終了後、受講者の方々からは大きな意識の変化が見られました。

受講者コメント

「これまでは『区別せず、普通の社員と同じように接しよう』と意識してきましたが、今回のセミナーを通じ、『違いがあることを認め、その違いを前提として接する必要がある』と感じました。
また、この『違いを理解して歩み寄る』というアプローチは、外国人材に限らず、今の日本の若手社員への接し方にもそのまま応用できる内容だと思いました。」

講師フィードバック

「その点はまさに、このCQセミナーが目指す『最終地点』でもあります。『人は誰しも違う』という前提に立てば、このスキルは外国人との文化的な壁を乗り越える入り口であると同時に、日本人同士の世代間ギャップを埋めるための汎用的なマネジメントスキルでもあります。」

他のコメント

このほかにも、今回のCQセミナーで得た新たな気づきや、実際のコミュニケーションでの実践に向けた前向きなコメントを数多くいただいております。

現場での実践と実感

実際に技能実習生の受け入れが始まり、本セミナーがいかに有意義だったかを実感しています。文化は違っても人としての価値観は同じ部分も多く、疑問があれば互いに質問し合うことで、言葉の壁や専門的な課題も柔軟なコミュニケーションで乗り越える雰囲気が生まれています。

組織マネジメントへの応用

今回のセミナーを受講して強く感じたのは、内容が単なる『外国人材と働くための手法』には留まらないということです。他者とのコミュニケーションという点で、『日本人同士の組織マネジメント』においても極めて重要で本質的なスキルであると深く理解することができました。

コミュニケーション力の向上

文化の違いによる『常識』の捉え方が明確になり、今後の対応に役立つと感じました。講義も丁寧で2時間があっという間でした。外国人への対応に限らず、あらゆる他者との接し方として大いに役立つ内容だったため、実践を通して自身のコミュニケーション力を高めていきたいです。

世代間ギャップの解消への期待

外国の方と日本人の思考やジェスチャーの違いなど、これまで全く知識がなかったことばかりで大変参考になりました。異文化対応力(CQ)というテーマでしたが、日本人同士における『世代間ギャップ』などの思考の違いを埋める知識としても、現場で大いに活用できそうです。

マインドセットの変化と気付き

世界から見た『日本の文化的特殊性』について全く知らなかったため、非常に驚きがありました。外国人、特にスリランカの方の考え方や特徴を具体的に知ることができたので、今後は『文化的な背景や価値観が日本とは違う』というマインドを常に持って新入社員と接していきます。

現場での具体的な対応方法の習得

セミナーを受講したことで、外国人材の受け入れに対する不安がだいぶ解消されました。具体的な話し方や接し方が理解できたのはもちろん、『こちらが伝えたことが正しく伝わっていない時がある』という前提や、その場合の適切な対応方法などを学ぶことができ、大変勉強になりました。

「採用して終わり」にしない。定着のための仕組みづくり

角谷:
マインドセットは整いましたが、実際に働き始めれば様々な悩みが生まれます。特定技能外国人の離職理由の多くは「人間関係」や「孤独感」です。
そこで今後は、彼らのモチベーションや悩みを可視化する「サーベイ」と「相談室」の導入も計画しています。

下村:
せっかく高いコストをかけて採用した人材です。彼らが何に悩み、何を考えているのかをブラックボックスにせず、長く活躍してくれる環境を作ること。それが、ひいては地域インフラを守ることにつながると確信しています。

「地域共生」の新しいモデルケースへ

長野:
今回の熊本電気鉄道様の取り組みは、単なる外国人材の受入事例にとどまらず、多様な人材が活躍する「強い組織」への変革事例でもあります。アットグローバルとしても、この「熊本モデル」の成功を全力で伴走支援していきます。

Client Profile

熊本電気鉄道株式会社

熊本電気鉄道株式会社
熊本県内で鉄道・バス事業を展開。グループ会社にてホテル事業、保険代理店業などを営む地域密着型企業。

「採用したのに辞めてしまう」
その課題、解決しませんか?

外国人材の受入成功のカギは、実は「日本人社員の意識変革」にあります。

株式会社アットグローバルは、「CQ(異文化対応力)セミナー」で、違いを強みに変える強い組織づくりをサポートします。まずは無料相談から、お気軽にお問い合わせください。

※貴社の課題に合わせてカスタマイズが可能です