中国の畜産・乳製品マーケットについて
はじめに
中国は農業大国でもあります。国土が広いので、さまざまな農作物がつくられています。近年は、畜産業の成長が目立っています。中国料理に欠かせない肉の生産量が、拡大しています。
ここでは、最新の中国畜産・酪農マーケット事情をご紹介します。
中国は農業大国
中国のGDP(国内総生産)で、農林水産業が占めているのは7.5%です。(*日本は1.2%)中国の就業人口で、第一次産業(農業・林業・漁業・鉱業)に携わっている人々は、26.5%と高い水準にあります。(*日本は3.3%)中国では、農業に携わる人は減少傾向にありますが、畜産に携わる人は増加しています。
中国での畜産物の消費に関しては、乳製品は変化がありませんが、豚肉・牛肉の消費量は都市部・農村ともに増加しています。特に、農村部の増加が大きい傾向がみられます。
中国の畜産マーケット
中国の豚肉マーケット
豚肉は、中国料理に欠かせない材料です。中国では、牛肉や鶏肉よりも、豚肉の方が多く使用されます。
中国の豚肉生産量・消費量は世界第1位です。スーパーや市場に行くと、大きな塊で豚肉が売られています。日本のように、“こま切れ肉”とか“薄切り肉”のようにパックされているものは少なく、ブロックで売られていることがほとんどです。
中国国内の食肉生産量全体の3分の2は、豚肉となっています。畜産が行われている地域は、河南・四川・湖南・雲南・山東・湖北・広西チワン族自治区で、全体の5割を占めています。2018年で4億2817万頭、5404万トン生産されました。
中国の牛肉マーケット
中国で肉用牛の飼育が始まったのは、最近の1990年代に入ってからです。それまで、牛は主に農耕用でした。
現在、中国の牛肉の消費量は世界第3位です。(1位はアメリカ、2位ブラジル)中国の牛肉の生産は、雲南・内モンゴル自治区・青海・四川・チベット自治区・貴州・甘粛が産地として有名です。2017年のデータでは、6618万頭・635万トンが生産されています。中国では、牛肉はイスラム教徒向けハラール商品としても販売されているという特徴があります。
中国の鶏肉マーケット
中国料理では豚肉が多いとはいえ、鶏肉の料理もたくさんあります。中国での鶏肉の消費量は、世界第3位です。これは、世界の鶏肉生産量の9.4%にあたります。
中国の市場では、新鮮な鶏を丸ごと一羽買っていく人たちが大勢います。1年で1番重要な行事「春節」や、特別なお祝いの日には、鶏を何羽か連れ帰っている様子が見られます。(そして、家でさばくのでしょう)
鶏肉の生産地は、河南・山東・遼寧・広東・河北・四川・湖北などです。アヒルも含めた「家きん」生産量は、2017年では60億羽、1160万トンです。
中国の乳製品マーケット
生乳の生産について
中国の生乳の生産は世界第5位です。生産地は、新疆ウイグル自治区・内モンゴル自治区・河北・黒竜江・山東・四川で、乳牛の生産が盛んに行われています。2018年のデータで、1037万頭、3039万トン生産されています。
乳製品マーケット
ここ数年、中国での乳製品の伸びは横ばいとなっています。原因の1つは、2008年に起きたメラミン混入事件など、国内メーカーへの信頼が失われてしまったことがあげられます。そのため、輸入ブランドの牛乳を好む傾向があります。
スーパーでは、日本のような1リットルパックの冷蔵の牛乳もあるのですが、小さいパックに入った常温で保存可能な牛乳が山積みに売られています。これらは、LLミルク(ロングライフミルク)と呼ばれるものです。日本では、あまり見かけない牛乳です。
“外国の牛乳は品質が良い”と思われていますので、例えばドイツのLLミルクは人気があります。ですが、上の写真のような中国ブランドのLLミルクもたくさん売られています。これらは冷蔵の牛乳より値段が安いので、多くの人が購入しています。
日本の有名な乳酸菌飲料「ヤクルト」も、“健康に良い”ということで人気があります。値段はちょっと高めですが、多くの人が購入しています。
生乳生産量が横ばいとはいえ、2018年の生乳の生産量は世界第5位です。中国ブランドのヨーグルトはたくさん売られていますし、年々商品力が高まっています。以前は好んではいなかったチーズも、近年は購入者が増えてきています。ピザなどの洋食が広がってゆくにつれ、今後は消費量が拡大していくでしょう。
生乳の主な生産地は、内モンゴル自治区・新疆ウイグル自治区・黒竜江・四川・河北・山東です。
まとめ
私は中国滞在歴があるのですが、一般的に中国人は「菜市場(野菜市場)」という場所で、野菜・果物・肉・魚・米・卵など、ほとんどの食材を購入しています。肉類は大きなブロックで並べられています。鶏肉はというと、「生きている鳥」のまま売られていることが多く、その場でさばいています。日本では想像しがたい光景ですね。
ヨーグルトなどの乳製品は、どんどん高級化しています。今後は若い人たちを中心に食の西洋化が進み、チーズ・生クリームなどの消費量も増えてゆくでしょう。
中国人の多くが、食の安全性と健康を気にしています。体に良いとされる食材(食品)であれば、多くの人が購入するでしょう。日本の食品には、絶大な信頼をおいています。中国向けマーケティングをお考えでしたら、「健康」をアピールしたプロモーションが効果的でしょう。
株式会社アットグローバルは、中国語翻訳、中国向けデジタルマーケティングを行っています。ご質問・ご要望がありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。