中国の最新住宅事情2021年版(後編)
コンテンツ一覧
はじめに
いち早くコロナの影響を脱したと言われている中国。コロナ前から続いている住宅バブルは、コロナの影響を受けることなく続いています。
ここでは、中国での住宅事情の現状をお伝えします。シリーズ後編です。よかったら前編もご覧ください。
保障性住宅とは?
中国には「保障性住宅」という制度が設けられています。これは、中国大都市での激しい住宅の高騰により、住宅購入(または賃貸)が困難な低中所得者・若年層の人たちを救済する制度です。
中国政府が社会保障の一環として提供する住宅で、販売価格(または賃貸料)が低く抑えられています。中国政府は、このような住宅を今後もっと増やしてゆき、住宅の価格高騰による住宅供給不足の問題を解決することを目指しています。そうすることで、粗悪な住宅に住む若い人たちや低所得者の生活レベルがアップするでしょう。
最近の動き
低中所得者・若年層向けの住宅を増やすために、中国政府は金融支援を行うことを決めました。支援策の中には、建設手続きの簡略化、70平米以下の部屋の家賃を市場価格より低くすることが含められました。
また地方政府に対しては、保障性住宅のニーズと利用可能な土地や不動産(政府保有不動産も含む)を正確に把握すること、そして新築・改築・家賃補助など、実際的な対策を講じるように指示を出しました。
そして、「家は住むためのもので、投機のためのものではない」と繰り返し強調し、不動産融資を抑制し、投資のためだけに住宅購入する高所得者たちの動きを抑えることにしています。そうすることで、十分な保障性住宅を確保することが可能となるでしょう。
中国らしいハイテクさも
「保障性住宅」は低所得者向けに供給される住宅ですが、ハイテクです。ここは中国らしいところと言えますが、この住宅購入者がさらに「賃貸」に出す(それで儲ける)ことを防ぐために、入り口のゲートでの「顔認証システム」を投入し始めています。顔認証システムがついていると、住民以外の人の出入りがあるとすぐに分かってしまいます。かなりしっかりとしたセキュリティーが取られるようです。
北京市の保障性住宅投資センターでは、このシステムをすべての住宅に設置するとのことです(2019年時点)。*こちらを参照してください。
まとめ
私は中国に住んでいたことがあるのですが、中国の大都市の住宅の格差はひどいものでした。豪華なタワマンに住んでいる人がいる一方、非常に古くて安全性に疑問を感じる団地や地下室に住んでいる人たちもいました。
中国の大都市の住宅は、庶民や農村から出稼ぎに来ている人にはとても手が出る価格ではありません。今後、低所得者向けにセキュリティーのしっかりとした住居がもっと増えて、大都市での住環境が大幅に改善されてゆくことを願います。