雇用者必見!外国人が病気になったらどうする?
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はじめに
日本で働く外国人が病気になってしまったら、外国人対応可能な病院に行くのがベストです。
どこに最新の病院情報が載せられているのでしょうか?ここでは、すぐに役立つ外国人患者のための情報サイトをご紹介します。
外国人対応病院はどこにあるのか
外国人がケガや病気になってしまった時に備えて、外国人受け入れを行なっている病院を知っておくことは大事です。まずは、厚生労働省やJNTO(日本政府観光局)が提供している、外国人患者に関する情報サイトを活用しましょう。
厚生労働省:外国人受け入れ病院リスト
厚生労働省では、外国人患者向けに「医療機関リスト」を公表しています。
リストに記載されている医療機関は、単に外国人患者の受け入れ意思があるだけではなく、各都道府県によって適格であると判断された病院です。不適格と判断された医療機関は掲載されていません。そのため、安心して利用できます。
リストでは、都道府県ごとに病院を検索することができます。リストには、以下の基本情報が掲載されています。
- 病院名(英語表記)
- 住所(英語表記)
- 電話番号
- 受付日時の情報(診療可能曜日、診療可能時間、救急外来は24時間対応可能かなど)
- Webサイトアドレス
- 対応診療科と対応言語
- 利用可能なクレジットカード
- その他、利用可能なキャッシュレスサービス
- 24時間365日対応の可否
- 災害拠点病院かどうか
- JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)の認証を受けているか
- JIH(ジャパン・インターナショナル・ホスピタルズ)の認定を受けているか
- 各都道府県が選出する「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」であるかどうか、およびそのカテゴリー
- 医療機関種別(病院なのか診療所なのかなど)
- 救急医療体制がどうなっているか
- 外国人対応の専門部署の有無、および対応言語と対応可能日時
- 外国人向け医療コーディネーターの有無、および対応言語と対応可能時間
- 医療通訳者の有無、および対応言語と対応可能時間
- 遠隔通訳の有無、および対応言語と対応可能時間
- その他の言語サポートの有無、および対応言語と対応可能時間
JNTO:具合が悪くなった時に役立つガイド
JNTOは「JAPAN:the Official Guide」というwebサイトを運営しています。同webサイトでは、外国人の受け入れ医療機関をリスト化し、簡単に検索できるシステムを提供しています。さらに、医療機関への受診方法、症状に対する診療科目のリストも掲載しています。
また、日本語が話せない外国人が救急車を呼んでもらいたいとき、周りの日本人に見せて伝えられるようにも工夫されています。
このサイトは、外国人が医療機関を受診する際のハードルを大きく下げることができるでしょう。周りの外国人でこのサイトを知らないようなら、ぜひ教えてあげましょう。サイトの表示言語は、日本語・英語・韓国語・繁体中国語・簡体中国語です。
なお、「JAPAN:the Official Guide」についての詳しい説明は、以下の記事を参照してください。
もし夜間・休日に具合が悪くなったら
外国人受け入れ可能な医療機関でも、外国語診療が可能な医師や通訳者が不在で対応できないことも生じ得ます。そのため、「休日や夜間に具合が悪くなったらどうしよう」と不安を感じている外国人は多いはずです。
そういった状況に備えて、厚生労働省は「夜間休日ワンストップ窓口」を設けています。なお、この窓口は「医療機関関係者に対する助言や情報提供をする窓口」ですのでご注意ください。患者個人等からの相談を受け付けるものではありません。
相談可能な内容は、以下のものです。
状況の把握・情報整理
外国人対応が可能な他の医療機関の情報、外国人患者受け入れに関する様々なアドバイス(受け入れ体制・フロー・必要書類等)
支払いサポート
外国人患者の医療費支払いに関する全般的なアドバイス(未払い、支払い能力に問題がある場合などの対応)
院外機関情報提供・手続き説明
在留資格(ビザ)に関する情報、各種保険に関する相談、大使館等の公的機関、航空会社等の案内や手続きに関するアドバイス
重篤案件対応の情報提供
転院、国際医療搬送が必要な場合の手続き、外国人患者が亡くなった場合の対応など
その他
宗教上の注意点、麻薬中毒など事件性が疑われる場合の対応
多言語説明資料を活用しよう
厚生労働省は、外国人患者を円滑に受け入れるのに役立つ「多言語説明資料」を用意しています。英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語の5か国語に対応していて、各言語ごとにWordかPDFでダウンロードが可能です。
ダウンロード可能な資料は以下の通りです。
受付
- 診療申込書
- 選定療養費について
- 院外処方せんの説明
- 診療情報提供書
- 入院申込書(兼誓約書)
- 入院歴の確認について
- 面会について
- 感染予防について
- 高額療養費制度(限度額適用認定証)について
- 出産育児一時金の直接支払制度の利用に関する説明書・合意書
- 概算医療費
- 医療費請求書
- 医療費領収書
問診票
- 内科の問診票
- 呼吸器内科の問診票
- 循環器科の問診票
- 消化器科の問診票
- 皮膚科の問診票
- 小児科の問診票
- 精神科の問診票
- 外科の問診票
- 血管外科の問診票
- 泌尿器科の問診票
- 脳神経外科の問診票
- 整形外科の問診票
- 眼科の問診票
- 耳鼻咽喉科の問診票
- 産婦人科の問診票
- 歯科の問診票
治療・手術・検査等
- 麻酔の問診票
- 麻酔に関する説明書
- 輸血療法に関する説明書
- 輸血療法に関する同意書
- 輸血や血漿分画製剤投与拒否に関する説明書
- 深部静脈血栓症と肺塞栓症予防のための説明書
- 入院治療等の拒否確認書
- CT検査に関する説明書
- 造影CT検査の説明書
- 造影CT検査の問診票
- MRI検査の問診票
- MRI検査に関する説明書
- 造影MRI検査の問診票
- 造影剤を用いるMRI検査に関する説明書
- 上部消化管内視鏡検査の説明書
- 上部消化管内視鏡検査の問診と同意書
- 下部消化管内視鏡検査の説明書
- 大腸内視鏡検査の問診と同意書
- 感染症検査について
- 新生児マススクリーニングの説明書
- 新生児聴覚スクリーニングについて
- 尿素呼気試験の説明
- 同意書(治療・検査等の汎用フォーム)
患者が希少言語の場合どうするか
日本では外国人対応のために、「医療通訳者」を医療機関に配置しています。しかし、希少言語に対応できる人員の確保は難しく、対応が遅れていました。そこで、厚生労働省は希少言語に対応する「遠隔通話サービス事業」を実施し、希少言語話者も安心して医療を受けられる環境整備を進めています。
この「遠隔通話サービス」は、全国の医療機関を対象としています。このサービスは、外国人患者の通訳(3者間通訳も含む)を24時間体制で受けることができます。対応可能な言語は、以下の18言語です。
- タイ語
- マレー・インドネシア語
- タミル語
- ベトナム語
- フランス語
- ヒンディー語
- イタリア語
- ロシア語
- ネパール語
- アラビア語
- タガログ語
- クメール語
- ドイツ語
- ビルマ語
- シンハラ語
- ウルドゥ語
- ベンガル語
- モンゴル語(※一部英語でのリレー通訳あり)
また、本サービスを外国人患者に説明するための資料も用意されています。詳しくはこちらのWebサイト をご覧ください。
外国人受け入れ病院に関する情報サイト
外国人の医療に関する総合情報サイトをまとめました。情報収集にお役立てください。
厚生労働省:医療の国際展開
外国人患者受入れ環境整備に関する、情報のポータルサイトです。「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」のほか、「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」や「地方自治体のための外国人患者受入環境整備に関するマニュアル」などのリンクが掲載されています。
外国人患者受け入れ情報サイト
こちらは医療機関向けの外国人患者受け入れ情報サイトです。外国人患者対応や受け入れ態勢の整備に役立つ情報が掲載されています。
JNTO:具合が悪くなった時に役立つガイド
こちらは「外国人対応病院はどこにあるのか」の項目でも紹介したWebサイトです。外国人患者が医療機関を探すためにも役立ちますが、医療関係者が外国人患者に説明をする際にも活用できます。
厚生労働省:外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル
慶應義塾大学病院長・医学部外科学(一般・消化器)教授の北川雄光氏による「外国人患者の受入環境整備に関する研究」に基づき、厚生労働省は「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」を作成・公開しています。ここから、総合的な情報を知ることができます。
厚生労働省:地方自治体のための外国人患者受入環境整備に関するマニュアル
前述した北川雄光氏の研究に基づき、厚生労働省は「地方自治体のための外国人患者受入環境整備に関するマニュアル」も作成・公開しています。
まとめ
今回紹介したように、すでに外国人が安心して診察を受けられる仕組みが構築されており、年々強化されています。外国人労働者が個人として利用するだけではなく、外国人を雇用している企業や事業者にとっても役立つ情報が用意されているので、ぜひ活用してください。
近年、ベトナム国籍の労働者が中国国籍の労働者数を上回るなど、外国人労働者の内訳に変化が起きています。今後は、これまでのように英語や中国語対応だけでは不十分です。ベトナム語を含めた、多言語対応がますます必要となります。いざという時に迅速に対応できるよう、今出来ることから準備を始めておきましょう。
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