
海外リサーチ完全ガイド2025|失敗しないためのAI×現地調査入門
海外でのビジネスを検討する中で、次のような疑問を抱いたことはありませんか?
- どの国に進出すべきか?
- 自社の商品やサービスは現地で受け入れられるのか?
- 失敗しないためには、まず何から始めるべきか?
これらは、海外展開を担当するマーケティング・事業開発のご担当者にとって非常にリアルな悩みです。専門知識やリソースに限りがある中で、どうすればリスクを抑え、ビジネスに必要な情報を効率よく集められるのか、頭を悩ませているのではないでしょうか。
近年、AI(人工知能)の進化により、海外リサーチ・市場調査の手法も大きく変わってきています。しかし、AIによる情報収集だけでは、現地のリアルな状況や文化、人々の本音まで捉えることは難しいのも事実です。
本記事では、豊富な実績を持つ株式会社アットグローバルが、海外リサーチの基礎から最新トレンド、成功につなげる実践的なノウハウまでを徹底解説。
これからの一歩を確実にするため、ぜひ最後までご覧ください。
株式会社アットグローバルについて
世界約60カ国・200名以上の現地調査員を活用。ネット(AI)だけではわからない、本物の情報を見抜くグローバルリサーチを提供します。
多言語翻訳・通訳、海外リサーチ、ビジネス研修、多言語マーケティングを通し、グローバルビジネスのあらゆる課題にワンストップで対応可能です。
海外リサーチ・市場調査とは?成功するための基本と考え方

海外リサーチとは、海外の特定の国・地域を対象に市場環境、競合、消費者ニーズ、制度などの情報を調査・分析するプロセスです。
※本記事では「海外リサーチ」と「海外市場調査」を同義として進めていきます。
国内リサーチと大きく異なるのは、言語・文化・商習慣・法制度などの「予測困難な要素の多さ」にあります。これにより、仮説を立てて検証する過程では、より慎重で多角的な視点が不可欠となります。
海外リサーチは戦略のための「情報投資」です。これは、意思決定を支える「データと洞察」を集める重要な活動であり、単なる情報収集ではありません。
なぜ海外リサーチが海外展開に不可欠なのか?失敗事例と理由
「市場が成長している」「日本製はウケる」といった期待だけで進出を決めるのは極めて危険です。実際、たとえ大企業であってもリサーチ不足により撤退・損失を経験するという例があります。
典型的な失敗事例:
- 大手飲料メーカー:現地競合との価格競争に敗北し、巨額損失。
- 小売大手:日本の成功モデルをそのまま適用し、顧客ニーズとズレて撤退。
- IT企業:現地ライフスタイルに合わず、プロダクトが受け入れられなかった。
これらの背景には、現地理解の浅さ・リサーチの欠如があります。海外リサーチは、こうした「失敗のリスクを最小化する保険」であり、「ROI(投資対効果)を最大化する前提条件」でもあるのです。
※ROI(Return on Investment):かけた費用に対して、どれだけの利益を得られたかを示す指標。
海外リサーチのタイミングと目的|検討・参入・展開フェーズ別
海外リサーチは一度きりのものではなく、ビジネスの海外進出フェーズごとに異なる目的を持って実施する必要があります。以下のように段階別に整理することで、リサーチの狙いと必要な情報が明確になります。
【検討初期】どの国を狙うべきか?
- 市場規模や成長性を比較し、有望な地域を絞り込む
- マクロ環境(政治・経済・法制度など)を確認し、リスクを把握
※マクロ環境:市場や業界全体に影響する外部要因。例:GDP、人口動態、法律、経済政策など
【参入準備期】ローカライズ・競合分析・戦略立案
- ターゲット顧客のニーズを把握し、提供価値を調整
- 現地の競合や価格帯、販路(販売チャネル)を分析
- 法規制・認可・制度的な障壁を確認
※ローカライズ:製品やサービスを現地の文化・言語・習慣に合わせて最適化すること
【事業展開期】市場との適合性を評価・改善
- 実際の顧客満足度やブランド認知度を測定
- 現地での反応を継続的に確認し、戦略をアップデート
- 新たな競合や市場変化に対して柔軟に対応
このように、海外リサーチは戦略を支えるサイクルの一部として、継続的な実施が求められます。
海外市場調査の目的別アプローチと得られるビジネス効果

海外リサーチは、ただ情報を集めるだけではありません。「何のために調べるのか」を明確にすることで、貴社の海外ビジネスに具体的な価値をもたらす戦略的な活動になります。
主な目的別に、どんなことを調べるのか見てみましょう。
- 新規参入の可能性を判断する: その市場がどれだけ魅力的か(市場規模や成長性)、そしてビジネスを始める上での難しさ(競合、法律、かかるお金)を評価し、進出するべきかしないべきかを判断します。
- ターゲット顧客を見つける: 顧客となりうる人たちがどんな人たちで、何を求めているのか、どういう考え方をしていて、どういう時に買うのかをはっきりさせます。
- 競合を分析する: 主な競合会社は誰か、彼らの「強み」「弱み」、商品や値段の戦略、どんな宣伝活動をしているかを調べて、自社がどうすれば優位に立てるかのヒントを得ます。
- 製品・サービスの受容性を評価する: 開発中の、あるいは既存の製品やサービスが、現地の市場で受け入れられるか、改善点は何かを評価します。コンセプトが受け入れられるか、使いやすいか、適切な値段かなどを調べます。
- 販売ルートや提携先を探す: どこで、どうやって商品を売るのが一番良いか?協力してくれる可能性のある有力な販売店やパートナー候補はいるか?彼らをどう評価すれば良いか?などを調べます。
- 法律・制度を調査する: 事業を行う上で関わってくる法律、規制、必要な許可、税金、労働に関する法律などを詳しく調べ、法律違反のリスクを避けます。
これらの目的をしっかり持って適切に行われた海外リサーチは、貴社に以下のような具体的なメリットをもたらします。
- 意思決定の精度が上がる: 勘や思い込みではなく、客観的なデータや深い洞察に基づいて、より確実な戦略的な判断ができるようになります。無駄な投資や判断ミスを防げます。
- リスクを最小限に抑えられる: 市場のリスク、競合のリスク、法律のリスク、文化や国のリスクなどを前もって見つけ出し、対策を立てることで、失敗する可能性を低くできます。
- 新規ビジネスチャンスを発見できる: まだ誰も気づいていないお客さんのニーズや、手つかずの小さな市場、新しい製品やサービスのアイデアが見つかる可能性があります。
- リソースを効率的に活用できる: 見込みのある市場やターゲットにリソースを集中させ、無駄な投資を避けることで、かけた費用に対してより大きな成果を得やすくなります。
- 効果的にローカライズできる: 現地の文化やニーズに合わせた製品の改善、マーケティング戦略の調整が可能になり、市場での成功率を高めることができます。
- 社内の意見をまとめやすくなる: 客観的なデータを示すことで、海外進出に関する社内の話し合いや意思決定をスムーズに進めることができます。
海外リサーチの手法完全比較|定量・定性・AI・現地調査

海外リサーチには様々な方法があり、目的や予算、対象国によって最適なものを選ぶか、組み合わせて用います。ここでは代表的な手法と、AIや現地調査の役割について解説していきます。
定量調査(数量データを収集する調査)
定量調査とは、数値で測れる情報を集めて、統計的に分析する手法です。
目的: 市場全体の規模、シェア、ブランドの認知度、顧客満足度、購入意向など、「数」で表せる市場の傾向や構造を客観的に把握すること。
主な方法:
- Webアンケート: インターネットを使って大勢の人にアンケートを実施。広範囲に迅速に、比較的安く行える。
- パネル調査: 事前に登録している調査協力者(パネル)に継続的に調査を実施。市場の変化を追跡するのに向いている。
- 電話調査: 電話で直接質問。特定のターゲット層や、企業向けの調査(BtoB)で有効。
- 会場調査: 特定の場所に調査対象者を集め、製品を試してもらったりアンケートを実施。
- 郵送調査: アンケート用紙を郵送。インターネットがあまり使われていない地域の人にも聞けるが、回答率が低いことや時間がかかるのが課題。
メリット: 市場全体の傾向がわかる、統計的な裏付けが得られる、結果に客観性がある。
デメリット: 「なぜそう思うのか」といった深層心理や理由までは分かりにくい。
定性調査(対象者の声や行動を深く探る調査)
定性調査とは、対象者の発言や行動、態度などから、数値では測れない質的な情報を集めて分析する手法です。
目的: 消費者が「何を考え」「どう感じているのか」、行動の背景にある理由、文化的な背景、無意識の行動などを深く理解すること。なぜそうなのか(Why)を探るのに強いです。
主な方法:
- グループインタビュー: 複数人に対象者を集めて座談会形式で話し合う。色々な意見やアイデアが出やすく、参加者同士の会話から思わぬ本音や集団での考え方が見えることがある。
- デプスインタビュー: 調査員が対象者と1対1でじっくり話す。個人的な話題や専門性の高い内容について、深く掘り下げて聞くのに向いている。
- エスノグラフィー(行動観察調査): 調査員が対象者の自宅や店舗などに入り込み、実際の生活や購買シーンを観察する。言葉にならない行動や習慣の発見につながる。
メリット: 深いインサイト(本音や洞察)が得られる、新しい仮説が生まれる。
デメリット: 調査する人数が少ないので、結果を市場全体にそのまま当てはめるのは難しい。時間とお金がかかる傾向がある。調査員のスキルが結果を大きく左右する。結果の解釈に主観が入る可能性もある。
アットグローバルが行った定性調査の事例
大手食品メーカーが台湾での商品展開を検討するにあたり、現地消費者のパッケージデザインや味の好みに関する調査を希望。アットグローバルはグループインタビューを提案し、ターゲット層に合わせたインタビュイーを現地でリクルート。台湾消費者のリアルな声を収集し、商品開発の方向性検討に貢献しました。
デスクリサーチ(既存情報を活用する調査)
デスクリサーチとは、政府機関、業界団体、調査会社などが既に公開している統計データ、レポート、ニュース記事、学術論文、Webサイトなど、既存の情報(二次情報)を集めて分析する手法です。
目的: 市場の全体像を素早く把握する、最初の仮説を立てる、本格的な調査の計画を立てる、基礎的な情報を集める。
メリット: 比較的安く、短い時間で広い範囲の情報を集められる。
デメリット: 情報が古かったり、自社の知りたいことにぴったり合わなかったりする。情報の信頼性を自分で見極める必要がある。デスクリサーチだけで重要な意思決定をするのはリスクが高い。
AIリサーチとは?海外市場調査における強みと限界

近年、AI(人工知能)の進化が海外リサーチに大きな変化をもたらしています。特に、時間やコストといったリソースが限られがちな海外プロジェクト担当者にとって、AIは強力な助っ人となり得ます。
代表的なディープリサーチツールとしては以下のサービスがあります。
- ChatGPT:Deep Research
- Gemini:Deep Research
- Genspark:スーパーエージェント
- Perplexity:Deep Research
- Felo:Felo Agent
- Grok:DeepSearch
AIリサーチの得意な分野:
- 大量データの高速処理・分析: ウェブサイト、ニュース、SNS、公開データなど、膨大な量の情報を人間では考えられない速さで集め、整理し、分析します。
- トレンド・パターンの発見: 大量のデータの中から、市場の流行、消費者の興味の変化、競合の動き、新しいキーワードなどをいち早く見つけ出します。
- 効率的な情報収集・要約: 特定のテーマについて、様々な場所から情報を集め、要点をまとめてくれます。リサーチの最初の段階で、かかる時間や手間を大幅に減らせます。
- 競合分析の自動化: 競合会社のウェブサイトやニュースリリース、SNSでの発言などを継続的に監視し、その動きを分析します。
- 多言語情報の処理: AIの翻訳技術を使って、様々な言語の情報を集めて分析できます。
- 初期仮説の生成: 分析結果に基づいて、「この市場にはこんなニーズがありそうだ」といった、次に検証すべき仮説を提案してくれます。
AIリサーチのメリット:
- 高速性: 調査にかかる時間を劇的に短縮し、迅速な意思決定をサポートします。
- 低コスト(特に初期段階): 現地に行く費用や人件費と比べて、最初の広範囲な情報収集のコストを抑えられる可能性があります。
- 網羅性: 人間では見落としがちな情報源やデータも拾ってくれる可能性があります。
- 客観性: 人間の主観や先入観を排除した、データに基づいた分析が期待できます(ただし、AIの学習データに偏りがあると結果も偏る可能性には注意が必要です)。
- アクセシビリティ: ChatGPTのような対話型AIを使えば、専門家でなくても基本的なリサーチや分析、アイデア出しができるようになりつつあります。
AIリサーチのデメリット:
- 情報の質に左右される: AIの分析結果は、AIがアクセスできる情報の質(新しさ、正確さ、網羅性)に大きく影響されます。特に、東南アジアなどの一部の国・地域では、日本などに比べてオンラインで公開されている情報が少なかったり、データの信頼性が低かったりすることがあり、AI分析だけでは限界があります。特定の有料データベースにはアクセスできない場合もあります。
- ハルシネーション(誤情報生成)のリスク: AIは学習データにない、事実ではない情報をもっともらしく作り出してしまうことがあります。例えば、実際には存在しない市場データを出したり、競合の情報や他国の情報を混ぜてしまったりするケースがあります。そのため、AIが出した情報のファクトチェック(事実確認)は絶対に必要な作業です。
- 文脈・ニュアンス理解の限界: AIは言葉の裏にある文化的な背景、現地の習慣、非言語的なコミュニケーション、消費者の本音といった「行間を読む」のは苦手です。
- 「現場感」の欠如: お店の雰囲気、インフラの実際の状況、街を歩く人々の様子など、五感で感じるリアルな情報はAIでは得られません。
- 学習データの偏り: AIは学習したデータに基づいて判断するため、データに偏りがあると結果も偏ります。例えば、都市部の情報ばかりを学習していると、地方の実態を正しく反映できないことがあります。こうした偏りは、市場を間違って理解したり、戦略ミスにつながるリスクがあります。
- 人脈形成は不可能: AIはあくまでツールです。現地で信頼関係を築いたり、ビジネスに不可欠な人的ネットワークを作ることはできません。
AIは非常に強力なツールですが、その能力と限界を正しく理解し、過信せずに活用することが、海外リサーチを成功させる上で重要です。
現地調査の価値とは?AIにはできない“リアル”な洞察

AIリサーチが進化する一方で、現地に実際に行って調査する(または現地調査員に依頼する)ことでしか得られない情報は依然として非常に価値のあるものです。特に、文化や人々の心理が深く関わる海外市場では、その重要性は変わりません。
現地調査員にしかできないこと:
- 信頼関係の構築と人脈活用: 直接会ってコミュニケーションすることで、調査対象者との間に信頼関係を築きやすいです。また、現地の調査員が長年培ってきた人脈を通じて、インターネットには載っていない市場の生の情報や、ビジネス上の注意点(例えば、取引における暗黙のルールや、表には出ていない規制の運用実態など)を得られることがあります。これは現地でのビジネスをスムーズに進める上で大きな助けになります。
- 「現場の空気感」を掴む: データだけでは分からない、市場の活気、街の雰囲気、人々の表情など、肌で感じるリアルな情報を得られます。
- 言葉以外の情報を読み取る: インタビューしている相手の表情、声のトーン、ジェスチャーなど、言葉になっていない本音や感情を察知できます。
- 柔軟な深掘り: 会話の流れで、予期せぬ発見や疑問が出てきた時に、その場で臨機応変に質問を重ね、本質に迫ることができます。
- 偶然の発見: 街を歩いたり、現地の人と交流したりする中で、計画していなかったけれど非常に役立つ情報やアイデアに出会うことがあります。
- 五感を通じた情報収集: 製品の実際の質感、食品の味や香り、お店のBGMなど、五感を通して得られるリアルな体験は、データだけでは分からない重要な情報源です。

現地調査員によるリサーチのメリット:
- 深いインサイト(洞察)の獲得: 消費者の行動の「なぜ?」を、現地の文化や社会的な背景を踏まえて深く理解できます。
- リアルな一次情報の入手: インターネット上にはない、あるいは加工されていない、現場で自分の目や耳で確認した生の情報を得られます。
- 文化・習慣への適合性評価: 自社の製品やサービス、伝え方などが、現地の文化や習慣に本当に合っているかを、肌感覚で評価できます。
- 情報の検証: デスクリサーチやAIリサーチで得た情報が、現地のリアルな状況と合っているかを確認できます(いわゆる「地上検証」)。
- 人脈形成: 将来のビジネスにつながる可能性のある、現地での人的ネットワークを作ることができます。
現地調査員によるリサーチのデメリット:
- 高コスト: 調査員の費用、飛行機代、宿泊費、通訳費用など、どうしても多くのお金がかかります。
- 時間: 計画、準備、実施、分析に長い時間がかかります。
- 調査員の質への依存: 調査結果の質は、調査員のスキル、経験、語学力、異文化理解力、客観性に大きく左右されます。誰に頼むかが重要です。
- 地理的・物理的制約: 調査できる地域や人数に限りがあります。広い範囲の市場を網羅するのは困難です。
- 主観性の混入リスク: 調査員の解釈や考え方が結果に影響を与える可能性があります。
現地調査には時間とコストがかかるものの、AIでは得られない深い洞察やリアルな情報をもたらすため、海外リサーチにおいて依然として不可欠な手法と言えます。
海外リサーチを成功させる「AI×現地調査」のハイブリッド戦略

AIリサーチと現地調査員によるリサーチ。それぞれにメリット・デメリットがある中で、現代の海外ビジネスで成功するためには、どちらか一方を選ぶのではなく、両方の良いところを組み合わせる「ハイブリッドアプローチ」が最も効果的です。
なぜ今、ハイブリッドが最強のアプローチなのか?
ハイブリッド戦略は、AIと現地調査員、それぞれの弱点を補い合い、強みを最大限に引き出すことを可能にします。
AIが現地調査の弱点を補う:
- コストと時間の効率化: AIを使って最初の段階で市場を広くスクリーニングし、調べるべき対象を絞り込むことで、コストの高い現地調査を最も重要なポイントに集中できます。
- 網羅性と客観性の向上: AIで広範囲なデータを収集・分析し、現地調査だけではカバーしきれない範囲や、個人の主観性を補うことができます。
現地調査がAIの弱点を補う:
- 深い洞察と文脈理解: AIでは見落としがちな文化的なニュアンスや「現場感」を現地調査で補い、AI分析結果に深みと説得力を与えます。
- 情報の検証と信頼性向上(ファクトチェック): AIが収集・生成した情報(市場データや競合情報など)には、誤りや偏りが含まれる可能性があります。現地調査員が持つ知識やネットワークを通じて、これらの情報が現実と合っているかを確認し、ファクトチェックを行うことで、より信頼性の高い情報に基づいた意思決定が可能になります。
- 人脈形成: AIでは絶対にできない、ビジネスに不可欠な人的ネットワークを現地調査で築くことができます。
この組み合わせにより、「効率性」「網羅性」「客観性」といったAIの強みと、「深い洞察」「リアルな情報」「文化的理解」といった現地調査の強みを両立させ、より精度が高く、あなたの意思決定に直接役立つインサイトを得ることができるのです。
効果的なハイブリッド活用の具体的なステップ・事例

ハイブリッド戦略をどう進めれば良いか、具体的なステップの一例を見ていきましょう。
ステップ1:AIで広範なデスクリサーチと初期仮説を立てる
- 目的: 可能性のある市場を広く探し、マクロな状況(経済、政治など)を分析し、競合の基本的な情報を集め、最初の「たぶんこうだろう」という仮説を設定します。
- 具体的な活用例: AIツールを使って、候補となる複数の国の市場規模、成長率、関連ニュース、主なプレイヤーを素早くリストアップします。「国Xでは、SNSの投稿からYというニーズが伸びているのではないか?」といった仮説を立てます。
ステップ2:現地調査員で仮説を検証し、深い情報を集める
- 目的: ステップ1で立てた仮説が正しいかを確認し、ターゲット顧客が何を本当に考えているのか深く理解し、文化的に自社の製品などが受け入れられるか評価し、リアルな市場の状況を把握します。
- 具体的な活用例: AI分析で絞り込んだターゲット候補に対し、現地の調査員がインタビューを行います。AIでは分からなかった潜在的なニーズや、自社製品が文化的に受け入れられないポイントなどを発見します。競合店に実際に行き、お店の様子や商品の並び方、お客さんの動きなどを観察します。
ステップ3:AIで収集データを効率的に分析・要約し、現地調査員のインサイトと統合する
- 目的: 現地調査で得られた、言葉や行動といった数値化しにくい大量の情報(インタビューの記録など)を効率的に整理・分析し、AIリサーチの結果と組み合わせて、最終的な結論や、ビジネス戦略につながる具体的なヒントを導き出します。
- 具体的な活用例: AIを使って、インタビューで話された内容(音声やテキスト)を分析します。例えば、どんな言葉が頻繁に使われているか、話している人の全体的な感情(肯定的か、批判的かなど)の傾向を読み取ります。デスクリサーチの結果と照らし合わせ、矛盾がないか、何か新しい発見はないかを探します。そして、最も重要なのは、AIが出した分析結果を、現地調査員が現場で感じたことや得たインサイト(洞察)と照らし合わせ、総合的に判断することです。最後に、これらの結果を合わせて、ビジネス判断のための報告書にまとめます。
業種・目的別の併用例
食品メーカー(アジア市場向け新商品開発):
- AI活用: 現地のSNSやレシピサイトの投稿を分析し、食のトレンドや人気の味付け、食材の使われ方を把握。競合商品の成分や価格帯、オンラインでの評価を調査。
- 現地調査員活用: 現地のターゲット層に試食インタビューを実施し、味の好みや食習慣、家族構成による食卓の違いなどを深く聞き出す。現地のスーパーで実際に商品を手に取って棚を観察。可能であれば、家庭訪問で実際の調理・食事風景を観察し、普段の食生活の中での位置づけを理解する。
SaaS企業(欧州市場参入可能性評価):
- AI活用: 関連キーワードの検索ボリューム(そのサービスに関心がある人がどれくらいいるか)、競合サービスの機能比較、現地企業の導入事例、GDPR(EUの個人情報保護法)などの関連法規を広範囲に調査し、参入の基本的なハードルを見つける。
- 現地調査員活用: 現地の潜在顧客企業に対し、キーパーソン(情報システム部長など)にデプスインタビューを実施し、具体的な業務課題、現在のITシステムへの不満、新しいサービス導入への具体的なハードルや懸念(セキュリティ、導入の手間など)を確認する。現地の業界カンファレンスに参加し、キーパーソンと直接会ってネットワークを構築する。
リサーチを成功させるポイント
ハイブリッド戦略を成功させるためには、以下のポイントが重要です。
- 目的と役割を明確にする: 各調査フェーズで「何を知りたいのか」を具体的に決め、AIと現地調査員、それぞれに何を調べてもらうか、どういう情報を期待するかを事前にしっかり定義します。
- 密な連携と情報共有: AI分析チーム(または担当者)と現地調査チーム(または担当者)が、常に情報を共有し、お互いに「この仮説を検証してほしい」「現場ではこうだったから、AIでこのデータを追加分析してほしい」といったフィードバックをしながら進めます。
- 柔軟な計画修正: 調査を進める中で新しい発見があった場合、最初に立てた計画に固執せず、柔軟に調査内容や方法を見直します。
- 適切なツールとパートナーを選ぶ: AIツールも現地調査をお願いするパートナーも、自社の目的や予算に合ったものを選びます。
- 結果を統合して分析する: AIによるデータ分析の結果と、現地調査員が現場で得た定性的なインサイト(洞察)を両方見比べて、様々な角度から総合的に解釈し、ビジネス戦略としてどう活かせるかを考えます。
海外リサーチ実施の判断ポイント|内製 vs 外部委託

海外リサーチを実際に進めるにあたり、「自分たちでやるか、それとも外部の専門家にお願いするか」という判断が必要になります。限られたリソースの中で最適な選択をするために、それぞれの特徴を見ていきましょう。
自社で海外リサーチを行う場合の課題と現実
自社で海外リサーチを検討できるケースは、例えば以下のような場合です。
- インターネットを使った簡単なデスクリサーチや、社内のコネクションを使った限定的な情報収集だけを行う場合。
- 社内に対象国の言語に堪能で、かつリサーチ手法や対象国の事情にも詳しい専門的な知識を持った人材がいる場合。
- 予算が非常に限られている場合(ただし、この場合は調査の質が下がったり、予定より時間がかかったりするリスクが高まります)。
特に中小企業の場合、全てを自社で完結させるのは、現実的に多くの課題に直面することが多いです。
現実的な課題:
- リソース不足: 海外リサーチには、十分な時間、担当する人員、そして予算が必要です。これらを継続的に確保するのが難しいことが多いです。
- 専門知識・ノウハウの欠如: 効果的な調査を設計する方法、集めたデータをどう分析するか、そして最も難しい「異文化をどう理解するか」といった専門的な知識やノウハウがないと、質の高いリサーチは難しいです。
- 客観性の担保: 社内で海外進出への期待が高い場合など、「こうなってほしい」という希望的観測や、無意識の偏見がリサーチ結果の解釈に入り込みやすいです。
- 現地ネットワークの不在: 現地で調査に協力してくれる人を探したり、関係者にアポイントメントを取ったりするのは、現地のネットワークがないと非常に困難です。
- 言語・文化の壁: コミュニケーションのミスや誤解が生じやすく、相手の本音を引き出すのが難しい場合があります。
- AIリサーチ結果のファクトチェックが困難: AIが出力した情報の真偽を見分けるには、対象国の言語力、文化的な背景知識、業界の専門知識が必要です。特に発展途上国など、オンライン情報が限られる市場では、一般的な社内リソースだけでの正確な事実確認には限界があります。
これらの現実的な課題を考えると、中小企業や初めての海外リサーチの場合、全てを自社で行うのはハードルが高いと言えます。
外部のプロ(海外リサーチ会社)に委託するメリット

外部の専門家、特に海外調査会社にリサーチを委託することには、以下のような大きなメリットがあります。
- 専門性と経験: 特定の国や地域、業界、そして様々な調査手法について、深い知識と豊富な経験を持つプロの力を借りられます。
- 広範なネットワーク: 現地の調査協力者のパネル、調査員、業界専門家など、プロならではのネットワークを活用できます。
- リソースと効率性: 自社で行うよりも迅速かつ効率的に調査を進められます。また、自社の担当者は調査の実務ではなく、調査結果をビジネス戦略にどう活かすかというコア業務に集中できます。
- 客観性: 第三者である調査会社は、客観的で偏りのない分析や評価をしてくれます。
- 最新手法へのアクセス: AI活用など、最新のリサーチ手法やツールを自社で準備することなく利用できる場合があります。
株式会社アットグローバルは、60カ国以上に200名超の調査員を擁し、グローバルネットワークを活用して複数国での同時調査が可能です。各国に精通した調査員が、現地の深い洞察を提供します。調査実績はこちら
外部委託を強く推奨するケース
以下のような場合は、外部の海外調査会社に委託することを強くお勧めします。
- 調査の設計が複雑だったり、高度なデータ分析が必要だったりする場合。
- 複数の国や地域を比較して調査したい場合。
- 社内に海外リサーチに必要な十分なリソースや専門知識、経験がない場合。
- 客観的な視点や、高い信頼性を持つデータがビジネス判断に不可欠な場合。
- できるだけ早く調査結果が必要な場合。
- 特に、AIと現地調査を効果的に組み合わせる「ハイブリッド戦略」を実行したい場合。
多くの場合、調査の目的設定や、簡単な情報収集といった自社でできる部分は自社で行い、専門的な調査設計、現地での実査、複雑な分析といった部分は外部に委託するという連携が、最も現実的かつ効果的なアプローチとなります。
最適な海外調査会社の選び方|失敗しないためのチェックリスト

外部委託を決めた場合、数ある海外調査会社の中から、自社にぴったりのパートナーを見つけることが海外リサーチ成功の鍵となります。しかし、専門家ではない担当者にとっては、多くの選択肢の中から最適な会社を見極めるのは簡単ではありません。
ここでは、限られた時間と予算の中で失敗しないために、最低限これだけはチェックすべきポイントと、いくつかの候補を比較検討する際の優先順位について解説します。
【最重要】失敗しないための最低限チェックリスト
まずは、以下の3つのポイントを必ず確認しましょう。これらが満たされていない場合、あなたの海外リサーチが期待通りに進まないリスクがかなり高まります。
対象国・地域での実績は十分か?
自社がターゲットとしている国や地域で、実際に調査を行った経験が豊富にあるかを確認しましょう。特に、その国の文化や商習慣、そして法律や規制に詳しいかどうかは非常に重要です。調査会社のウェブサイトにある事例紹介を見たり、直接問い合わせて具体的な実績を聞いてみたりしましょう。
コミュニケーションは円滑か?
初めて問い合わせた時の返信の速さ、説明の分かりやすさ、担当者との話しやすさ(相性)などを確認します。海外リサーチでは予期せぬ問題が起こることもあります。困ったときにすぐに連絡が取れ、信頼関係を築いてスムーズに連携できるかが、成功するかどうかを左右します。
見積もりとスケジュールは明確か?
調査にかかる費用が何に、どれくらいかかるのか、そして具体的な作業内容とスケジュールがはっきりと書かれているかを確認します。「一式〇〇円」のような曖昧な見積もりではなく、詳しい内訳(例:人件費、渡航費、通訳費、レポート作成費など)を提示してくれる会社を選びましょう。また、もし追加費用が発生する場合はどんな時か、事前に確認しておく必要があります。
比較検討する際の優先順位(何を重視するか?)
上記の最低限チェックをクリアした上で、複数の会社を比較検討する際には、自社の状況に合わせて以下のポイントに優先順位をつけて評価しましょう。
優先度 高:
- 得意分野・専門性: 自社の業界(例:食品、IT、製造業など)や、今回の調査目的(例:一般消費者のニーズ把握、企業間の取引慣習調査など)に強みを持っているか。特定の調査手法(例:深いインタビュー、大規模アンケートなど)に特化しているか。
- 現地対応力: 現地に対象国の拠点や、信頼できる強力なパートナーがいるか。現地の言語や文化に精通したスタッフが、実際に調査に関わってくれるか。(特に、現地の人の本音を聞き出す定性調査や、複雑な市場構造を調べる調査の場合に非常に重要です。)
- アウトプットの質: 過去のレポートサンプルなどを見せてもらい、単に集めたデータを並べるだけでなく、自社の意思決定に本当に役立つような分析や、具体的な戦略のヒントが得られそうか。
優先度 中:
- 調査手法の幅広さ: デスクリサーチからAI活用、様々な種類の現地調査まで、幅広い選択肢の中から最適な手法を提案してくれるか。自社の予算や目的に合わせて、最適な組み合わせ(ハイブリッド戦略など)を検討してくれるか。
- AI活用度(ハイブリッド戦略の場合): AIを具体的にどのように活用し、それが調査の質や効率にどう貢献するのかを、分かりやすく説明できるか。AI分析を担当するチームと、現地調査を担当するチームの連携体制はしっかりしているか。
優先度 低(ただし確認は必要):
- 費用対効果: 単に値段が安いだけでなく、提供されるサービスの質や、そこから期待できる成果とのバランスが取れているか。
最初からたくさんの会社を比較するのではなく、まずは2〜3社に絞って、上記のチェックリストと優先順位に基づき、詳しく話を聞いてみることをお勧めします。
「一番安いから」という理由だけで選ぶと、後でコミュニケーションに手間がかかったり、期待したような役立つ情報が得られなかったりするリスクが高いです。
契約前に必ず確認すべき事項
最終的に依頼する会社を決める前に、以下の点を書面などで必ず明確にしておきましょう。
- 調査の目的、背景、具体的に知りたい調査項目、そして最終的にどんな形で報告してほしいか(レポートの内容、形式など)を、調査会社とあなた(自社)の間で完全に一致させる。
- 調査の範囲(どこまで調べるか)、具体的なスケジュール、そして報告の形式。
- 費用の総額、支払い条件(いつ、どうやって払うか)、もし調査を途中でやめる場合のキャンセルポリシー。
- あなたの会社の機密情報を守るための機密保持契約(NDA)。
- プロジェクトの担当者は誰か、そしてコミュニケーションをどういう方法、頻度で行うかという体制。
慎重に、そしてしっかりとパートナーを選ぶことが、海外リサーチの成功、さらには海外ビジネス全体の成功に繋がります。
海外リサーチの費用・期間とその最適化のポイント

海外リサーチにかかる費用や期間は、対象国や調査目的によって大きく変わります。ここでは、費用や期間を決める主な要因とともに、コスト・時間を最適化するための工夫やAIの活用方法について解説します。
費用を左右する主な要因
海外リサーチの費用は、主に以下の要因によって決定されます。
調査手法:
- デスクリサーチ:比較的低コストで実施可能
- 現地調査(定量調査の一部、定性調査):人件費や渡航費が発生し、高額になりやすい
対象国・地域:
- 物価水準、インフラ整備状況、言語(翻訳・通訳の必要性)などにより費用が変動
- 複数の国を対象とする場合は、費用が加算される
調査規模:
- アンケート回答者数、インタビュー対象者数、質問項目数によって費用が変動
対象者の属性:
- 特定の専門職や高所得者層など、対象者の選定が難しい場合は費用が高くなる
AIと現地調査の割合:
- 現地調査に多くの時間と人員を投入するほどコストが増加
アウトプットの質:
- データのみの提供、分析レポート、ビジネス戦略提案など、成果物のレベルによって費用が変動
期間を左右する主な要素
リサーチに必要な期間は以下の要因で決まります。
- 調査の種類と工程数
- 調査対象国の数と地域的な条件
- 調査対象者の手配難易度
- 社内外の意思決定のプロセス
- AI活用による作業の自動化や短縮の有無
コスト・期間を最適化するためのポイント
限られた予算・期間内で効果的なリサーチを行うには、以下のアプローチが有効です。
目的の明確化と絞り込み
- 「何を知りたいのか」を具体的かつ最小限に設定することで、無駄な工程や質問項目を削減できます。
段階的な調査設計
- デスクリサーチやAIによる事前分析 → 必要ならWeb調査 → 最後に定性調査という段階的な進め方で、リスクとコストを分散できます。
オンライン手法の活用
- 対面ではなくオンラインでのアンケートやインタビューを取り入れることで、移動や会場費などのコストを削減可能です。
AIの活用による効率化
- 情報収集・整理の自動化:デスクリサーチやSNS・レビューサイトなどのオープンデータの収集をAIで効率化できます。
- データ分析の高速化: 自然言語処理や機械学習を用いた分析で、大量データから洞察を得る時間を短縮できます。
- 調査設計のサポート: 調査票のたたき台作成や、過去の類似調査結果からの比較提案などもAIで支援可能です。
海外リサーチにかかる費用と期間は、調査の内容によって大きく変わります。予算を立てたり、スケジュールを管理したりするために、おおよその目安を把握しておきましょう。
海外リサーチでよくある課題とその解決策

海外リサーチは、国内のリサーチと比べて多くの困難に直面することが予想されます。事前にどんな課題がありそうかを知っておき、対策を準備しておくことが、スムーズな調査遂行のために非常に重要です。
言語の壁、文化的な違いへの対応策
調査票の言葉の選び方を間違えたり、インタビューでの質問が意図した通りに伝わらなかったりして、回答者の本当の気持ちを掴めない。また、現地の文化で「言ってはいけないこと」「聞いてはいけないこと(タブー)」にうっかり触れてしまい、調査が台無しになるリスク。
解決策:
- 優秀な通訳・翻訳者の起用: 単に言語ができるだけでなく、ビジネスやリサーチ、そして対象国の文化にも精通した人材を選びましょう。翻訳や通訳を複数人で確認する「ダブルチェック体制」も有効です。
- バックトランスレーション: 調査票などを一度現地の言葉に翻訳し、それを別の翻訳者が元の言語にもう一度翻訳し直すことで、最初の翻訳で意味やニュアンスがズレていないかを確認する方法です。
- 現地の文化に精通した調査員・パートナーの活用: 現地の習慣やタブーを理解し、調査対象者と適切で円滑なコミュニケーションをとれる人材と連携することが最も重要です。
- 異文化理解研修: 可能であれば、調査に関わる自社スタッフの異文化に対する理解度を高める研修を受けることも有効です。
- ビジュアルの活用: 言葉だけに頼らず、写真やイラストを使った質問なども検討してみましょう。

法規制・データプライバシー問題への対処
国ごとに異なる個人情報の守り方に関する法律(例:EUのGDPR)、特定の業界に関わる規制、調査を実施する上で必要な行政への届け出や許可など、複雑な法律や規制に対応する必要がある。これらのルールを破ると、大きな罰金などのリスクがあります。
解決策:
- 専門家への相談: 現地の法律に詳しい弁護士やコンサルタントに、事前に必ず相談し、今回の調査が法律的に問題ないか、どんな手続きが必要かを確認します。
- 最新情報の収集: 対象国の関連する法律や、当局が出しているガイドラインの最新情報を常にチェックします。JETROなどの公的機関が提供する情報も活用できます。
- 調査対象者への適切な説明と同意取得: 調査に参加してもらう人に対し、何のために調査をするのか、集めたデータをどう使うのかなどを分かりやすく説明し、必ず同意を得るプロセスを守ります。
- 調査会社選定時の確認: 外部の調査会社に依頼する場合、その会社が各国の法規制やデータプライバシーにきちんと対応できる体制を持っているか、契約前にしっかりと確認します。
信頼性の高い情報源を見極める方法
インターネット上には、正確ではない情報や古い情報、 偏った見方などの意見がたくさんあります。また、国の統計データなども、国によっては信頼性が低い場合もあります。
解決策:
- 複数ソースでの確認(クロスチェック): 一つの情報源を鵜呑みにせず、複数の、できればタイプの異なる情報源で同じ情報が見つかるか確認します。
- 情報源の信頼性評価: その情報がどこから出ているかを確認します。政府機関、国際機関、評判の良い調査会社、専門家が書いた学術論文など、信頼できる発信元の情報かを評価します。
- 一次情報の重視: 可能であれば、デスクリサーチで得た既存情報だけでなく、自分で現地に行って確認したり(店舗観察など)、調査対象者から直接話を聞いたり(インタビュー)といった一次情報で、情報を裏付けます。
- 情報の鮮度の確認: ウェブサイトの情報なども、いつ書かれたものか、いつ更新されたものかを確認し、できるだけ最新の情報を参照するように心がけます。
- 現地専門家の意見の参照: 現地のビジネスや市場の状況に詳しい専門家の意見を聞くことも、情報の信頼性を判断する上で非常に役立ちます。
これらの課題に適切に対処することが、海外リサーチの質を高め、リスクを減らし、誤った意思決定を防ぐ上で不可欠です。
海外リサーチの進め方まとめ
この記事では、海外リサーチの基本的な考え方から、具体的な調査手法、そしてAIと現地調査員を組み合わせる「ハイブリッド戦略」まで解説しました。
海外リサーチは単なる情報収集ではなく、海外ビジネスを成功させるための重要な「投資」です。不確実性の高い海外市場でビジネスを行う上で、勘や思い込みに頼ることは大きなリスクを伴います。
限られたリソースで最大の効果を出すためには、AIを活用した効率的な情報分析と、現地調査によるリアルな情報の収集を組み合わせた「ハイブリッド戦略」が最も効果的です。
この記事が、貴社の海外リサーチ戦略を立てる上で役立つことを願っています。
まずはここから始めよう
あなたの海外展開における目的を明確にし、「具体的に、どんな情報が分かれば、次の意思決定ができるのか」を具体的に洗い出すことから始めてみてください。その上で、本記事で紹介した様々な調査手法やアプローチを参考に、自社にとって最適なリサーチ計画の検討を進めましょう。
もし、具体的な進め方や、信頼できる調査パートナーの選び方などで迷う場合は、株式会社アットグローバルへご相談ください。AIやネットの情報だけではわからない、現地のリアルな情報を活用することで貴社の海外ビジネス成功への道を全力でサポートいたします。