
中小企業の海外進出をサポートする支援機関とサービスを活用する方法
国内市場の縮小が叫ばれる今、海外進出はもはや“選択肢の一つ”ではなく、“現実的な成長戦略”です。
しかし、「何から始めればいいのか分からない」「リスクが大きすぎるのでは?」と感じる企業も少なくありません。
実は、海外進出には“成功のための支援”を受けることで、多くの不安や課題をクリアにすることが可能です。
本記事では、中小企業が活用できる補助金や、市場調査、ビジネスマッチング、法務・税務サポートなど、海外進出支援の具体的な内容とそのメリットを分かりやすく解説します。
2025年度 中小企業向け海外進出支援補助金 一覧(公式サイトリンク付)
海外展開を目指す中小企業が活用できる主要な補助金を、目的別に整理しました。
※申請期間や詳細は変更される可能性があるため、必ず各制度の公式サイトで最新情報をご確認ください。
国の主要補助金
国が主導する補助金は、支援規模が大きく、全国の中小企業が対象となります。まずはこれらの制度の確認から始めることをお勧めします。
A. 知的財産権の保護・活用
海外での特許・商標の権利化や、模倣品対策など、知的財産を守るための補助金です。
補助金名 | 主な目的・内容 | 管轄機関 | 補助上限額 / 補助率 | 2025年度 申請期間/状況 | 主な対象経費 | 公式サイト |
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INPIT 外国出願補助金 | 海外での特許・商標・意匠などの権利取得を支援 | INPIT | 上限300万円/社 (特許:150万円/件など) 補助率:1/2 | 第1回:2025/5/12~6/16 第2回:9月上旬~下旬予定 | 外国特許庁への出願料、現地・国内代理人費用、翻訳費用など | 公式サイト |
中小企業等海外侵害対策支援事業 | 海外での模倣品被害や権利侵害への対策を支援 | JETRO | 上限400~500万円 補助率:2/3 | ~2025/10/31 (予算なくなり次第終了) | 模倣品調査費用、無効・取消審判費用、訴訟費用など | 公式サイト |
B. 新事業展開・市場参入支援
海外展開を含む、企業の新たな挑戦や事業変革を後押しする大型の補助金です。
補助金名 | 主な目的・内容 | 管轄機関 | 補助上限額 / 補助率 | 2025年度 申請期間/状況 | 主な対象経費(海外関連) | 公式サイト |
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中小企業新事業進出補助金 | 新市場への進出や事業転換など、大規模な事業変革を支援(海外展開も対象になり得る) | 中小企業庁 | 最大7,000万円 (賃上げ特例で最大9,000万円) 補助率:1/2 | 第1回:~2025/7/10 | 海外向け製品の製造設備、外国特許取得費、海外向けWebサイト構築・プロモーション費用など | 公式サイト |
ものづくり補助金 <グローバル枠> | 革新的な製品・サービス開発を通じた海外市場開拓を支援 | 全国中小企業団体中央会 | 上限3,000万円 補助率:中小1/2、小規模2/3 | 次期公募未定 (公式サイト要確認) | 機械装置費、システム構築費に加え、海外旅費、通訳・翻訳費、海外広告宣伝費も対象 | 公式サイト |
C. 輸出促進・海外市場開拓支援
輸出体制の構築や、具体的な海外販路開拓の取り組みを支援します。
補助金名 | 主な目的・内容 | 管轄機関 | 補助上限額 / 補助率 | 2025年度 申請期間/状況 | ポイント | 公式サイト |
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中堅・中小企業輸出支援エコシステム形成事業費補助金 | 複数の事業者が連携して行う輸出拡大の取組を支援 | JETRO | 最大2,000万円目安 補助率:1/2 | 2025/4/21~5/30 (締切済) | 単独での申請は不可。 コンソーシアム(連携体)での申請が必須。 | 公式サイト |
JICA 中小企業・SDGsビジネス支援事業 | 開発途上国の課題解決に貢献する製品・技術のビジネス化を支援 | JICA | 事業により異なる | 案件により異なる (公式サイト要確認) | ODA対象国への進出や、社会課題解決型ビジネスが対象。 | 公式サイト |
都道府県・市町村の補助金(事例)
お住まいの地域や事業拠点のある地方自治体でも、独自の支援策を実施しています。国の制度と併用できる場合もあるため、必ず確認しましょう。
都道府県・市 | 補助金名 | 主な目的・内容 | 補助上限額 / 補助率 | 2025年度 申請期間/状況 | 公式サイト |
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東京都 | 市場開拓助成事業 | 国内外の展示会出展や販促費用を支援 | 上限300万円 補助率:1/2 | 最新情報は公式サイトで要確認 | 公式サイト |
福岡市 | スタートアップ海外展開支援補助金 | スタートアップの海外展開(人材雇用、拠点開設など)を支援 | 補助率:1/2 (高度人材雇用:上限500万円など) | 2025/5/2 (締切済) | 公式サイト |
福井県 | 海外展示会等出展支援事業補助金 | 海外展示会への出展を支援 | 個社30万円、グループ120万円 補助率:1/2 | ~2025/7/31 | 公式サイト |
長野県 | 中小企業海外販路開拓助成金 | 製造業・ソフトウェア業の海外展示会出展を支援 | 100万円 補助率:2/3 | ~2025/7/11 | 公式サイト |
和歌山県 | 海外展開支援補助金 | 海外展示会出展や市場調査を支援 | 上限50万円~150万円 補助率:1/2 | 2025/6/5 (締切済) | 公式サイト |
補助金活用のポイント
- 早めの準備: 申請には事業計画書の作成や「GビズIDプライム」の取得など時間がかかります。公募開始前から準備を進めましょう。
- 目的の明確化: 自社の海外展開戦略を明確にし、どの補助金が最も適しているかを見極めることが重要です。
- 最新情報の確認: 公募要領や期間は変更されることがあります。必ず管轄機関の公式サイトを定期的に確認してください。
- 専門家の活用: 申請手続きが複雑な場合や、事業計画の策定に不安がある場合は、中小企業支援センターや専門コンサルタントへの相談も有効です。
海外進出支援の概要とメリット

海外進出支援とは、日本の企業が海外の市場に進出する際に、必要な情報やサポートを提供する活動のことを指します。企業が新しい国や地域でビジネスを始めるときには、さまざまな課題やリスクが伴うため、必ずサポートが必要になります。
海外進出支援の概要
海外進出支援の主な内容には、市場調査、ビジネスマッチング、法務・税務アドバイス、現地での人材採用支援、そして資金調達のサポートがあります。
市場調査
市場調査では、進出予定の国や地域の消費者の嗜好や競合状況、経済環境を調べ、企業がどのようにビジネスを進めれば成功するかを助言します。ビジネスマッチングでは、現地の企業やパートナーと企業を引き合わせることで、信頼性の高いビジネスネットワークを構築するサポートを行います。
法務や税務
また、法務や税務のアドバイスは、現地での法的リスクを避けるために重要です。海外進出に際しては、現地の法律を正確に理解し、遵守することが求められます。これらの専門知識を持つアドバイザーからの支援を受けることで、企業はスムーズに事業を進めることが可能になります。
人材採用や育成
さらに、現地での人材採用や育成に関するサポートも提供されています。海外でのビジネス成功には、現地の市場を理解し、適応できる人材が不可欠です。これに加えて、資金面での支援もあります。進出にかかるコストを軽減するために、補助金や助成金の活用を支援するプログラムも多く存在します。
支援のメリット
海外進出を目指す企業にとって、支援を受けることには多くのメリットがあります。特に中小企業にとっては、海外でのビジネス展開にはリスクや不確実性が伴いますが、適切な支援を受けることでこれらの課題を軽減することができます。
市場情報を正確に把握
まず第一に、支援を受けることで現地の市場情報を正確に把握することができます。たとえば、この記事の下でも解説しますが、ジェトロ(日本貿易振興機構)や中小企業庁などの公的機関が提供する市場調査レポートやセミナーを利用することがお勧めです。
そうしたサービスを活用することで、進出先の消費者ニーズや競合状況、ビジネス慣行などを事前にある程度、理解できます。これにより、ビジネス戦略を効果的に立てることができ、成功の可能性を高めることができます。
コストの削減
次に、コストの削減も大きなメリットです。多くの支援機関は、企業が海外市場に進出する際の費用を一部補助するプログラムを提供しています。
たとえば、補助金や助成金を活用することで、現地でのマーケティング活動や人材の育成、法規制対応にかかる費用を抑えることが可能です。これにより、企業は限られた予算で効率的に海外進出を進めることができます。
信頼性の向上
さらに、信頼性の向上も期待できます。公的機関の支援を受けることで、進出先の現地パートナーや顧客に対して、企業の信頼性や信用度を高めることができます。これは、特に新しい市場に進出する際に重要であり、現地でのビジネスを円滑に進めるための大きな助けとなります。
ネットワークの構築
最後に、ネットワークの構築です。支援機関が主催する商談会や展示会に参加することで、現地のビジネスパートナーや顧客との直接的な関係を築く機会が増えます。これらのネットワーキングの機会を通じて、現地でのビジネス展開を加速させることができます。
このように、支援を受けることで得られるメリットは多岐にわたり、企業が海外での成功を目指すための強力なサポートとなります。
支援機関とサービス

海外進出を考える企業にとって、支援機関は重要なパートナーです。これらの機関は、企業が新しい市場で成功するために必要な情報やリソースを提供します。ここでは、主な支援機関とその提供するサービスについて詳しく説明します。
日本貿易振興機構(JETRO)

参照:日本貿易振興機構
日本貿易振興機構(JETRO)は、日本企業が海外市場でビジネスを展開する際に、幅広い支援を提供する公的機関です。特に、初めて海外進出を目指す企業にとって役立つ情報を提供し、海外の市場調査や現地でのビジネス展開をサポートします。
主な支援内容として、JETROは現地の市場データや消費者動向を提供する「市場調査」や、現地企業とのビジネスマッチングをサポートする「商談会」を定期的に開催しています。
また、各国の法律や規制に関するアドバイスも提供しており、進出を検討している企業が事前にリスクを把握できるよう手助けしています。さらに、現地でのビジネスを円滑に進めるために、現地での拠点設立やパートナー探しなども支援します。
中小企業庁
参照:中小企業庁
中小企業庁は、日本の中小企業が海外市場に進出する際のサポートを行う政府機関です。中小企業庁は特に中小企業向けに、進出の準備段階から現地での展開までを総合的に支援するプログラムを提供しています。
例えば、中小企業庁は海外展開を目指す企業に向けた「海外展開支援プログラム」を実施しており、海外市場に関する情報提供や、現地でのパートナー企業の紹介、また貿易に必要な手続きに関するアドバイスなどを行っています。
さらに、補助金や助成金の申請サポートも充実しており、海外進出にかかるコストを削減するための支援も提供しています。
中小企業基盤整備機構
参照:中小企業基盤整備機構
中小企業基盤整備機構(中小機構)は、中小企業が海外で成功するためのさまざまなサポートを提供しています。中小機構の特徴は、具体的で実践的な支援プログラムが多く、企業が現地でのビジネスを安定して行えるよう、進出後も継続的なサポートを行っていることです。
中小機構が提供する代表的な支援には、現地市場調査、商談会のサポート、現地法人設立に関するアドバイスなどがあります。また、進出後の事業展開に必要な「現地スタッフの教育」や「現地法務・税務のサポート」なども行い、企業が抱える課題をトータルで解決する支援を提供しています。
さらに、中小機構は独自のネットワークを活用して、進出先でのビジネスチャンスを広げるための連携をサポートし、企業が現地で成功を収めるための環境作りを支援しています。特に中小企業にとって、リスクを最小限に抑えながら海外進出を進められることが大きなメリットです。


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海外進出を支援まとめ
- 海外進出支援は企業の海外市場進出をサポートする活動である
- 市場調査で進出先の消費者嗜好や競合状況を把握する
- ビジネスマッチングにより現地企業とパートナー関係を構築する
- 法務・税務のアドバイスで法的リスクを回避する
- 現地での人材採用や育成を支援する
- 資金調達のサポートが可能である
- 補助金や助成金を活用して進出コストを削減できる
- 公的機関の支援により企業の信頼性が向上する
- ネットワーク構築により現地ビジネスを加速させる
- 日本貿易振興機構(JETRO)が市場調査や商談会を提供する
- 中小企業庁は中小企業向けに海外展開プログラムを提供する
- 中小企業基盤整備機構は進出後も継続的なサポートを行う