ドイツ語翻訳の料金相場と翻訳会社の選び方|文書別の総額目安と見積もり比較

ドイツ語翻訳の料金相場と翻訳会社の選び方|文書別の総額目安と見積もり比較

ドイツ語の契約書や取扱説明書を翻訳会社に出そうとして、まず困るのが「いくらかかるのか」が分からないことです。英語と違ってドイツ語には公的な料金目安がなく、各社の料金表も数え方がばらばらで、比べにくいのが実情です。

結論として、2026年9月時点のドイツ語翻訳の相場は 、独→日が原文1単語あたり15〜30円、日→独が原文1文字あたり15〜25円です。契約書10ページなら7万5,000〜9万円、取扱説明書50ページなら21万〜31万円が、翻訳会社に頼んだときの総額の目安になります。

この記事では、その単価がどう決まり、自社の案件だと総額いくらになるのかを文書別に試算します。あわせて、安い見積もりに潜む落とし穴、見積もりを比べるチェック項目、ドイツ語に強い翻訳会社の選び方まで、初めて発注する担当者がそのまま見積もりを取りに行ける状態を目指して整理しました。

  • ドイツ語翻訳の単価相場(独日は単語、日独は文字で数える理由)
  • 文書別の総額目安(契約書・取扱説明書・Webサイト・メール)
  • 法務・技術・認証翻訳など、単価が上がる要因と安い見積もりの注意点
  • 見積もり比較のチェックリストと、発注者タイプ別の翻訳会社の選び方
目次

ドイツ語翻訳の料金相場|独日日独の単価レンジ(2026年9月時点)

ドイツ語翻訳の料金相場|独日日独の単価レンジ(2026年9月時点)

ドイツ語翻訳の料金は、独→日が原文1単語あたり15〜30円、日→独が原文1文字あたり15〜25円が翻訳会社の相場です。複数の翻訳会社の公開料金を2026年9月時点で集計した幅で、ビジネス一般文書は下寄り、法務医療などの専門文書は上寄りに収まります。

この単価には、翻訳者による翻訳に加え、別担当者の校正と進行管理が含まれるのが通常です。単価だけを見て安い会社を選ぶ前に、何が含まれた金額なのかを確認する必要があります。

単価レンジの一覧

区分独→日(原文1単語あたり)日→独(原文1文字あたり)
ビジネス一般(メール社内資料一般的なカタログ)17〜22円15〜20円
専門分野(法務技術医療金融IR)25〜30円20〜25円
校正ネイティブチェックのみ5〜10円5〜10円
ミニマムチャージ(最低発注料金)1〜2万円1〜2万円

独日は「1単語」、日独は「1文字」で数える理由と換算目安

ドイツ語翻訳の料金は、原文の分量で計算します。独→日なら原文のドイツ語の単語数、日→独なら原文の日本語の文字数が基準です。訳文の分量で計算すると、翻訳者の訳し方によって金額が変わり、見積もり段階で総額を確定できないためです。

ドイツ語は単語をスペースで区切る言語なので、Wordの文字カウント機能で単語数がそのまま出ます。日本語には単語の区切りがないため、文字数で数えます。句読点や数字を含めるかは会社によって異なるため、見積書に記載された数え方を確認しておくと安心です。

換算の目安は、ドイツ語1単語が日本語2〜2.5文字です。たとえばドイツ語2,000単語の技術資料を和訳すると、日本語で4,000文字前後の訳文になります。逆に日本語4,000文字の資料を独訳すると、ドイツ語1,600〜2,000単語程度に収まります。手元の文書がどちらの方向でも、この換算を使えばおおまかな金額感をつかめます。

ドイツ語には公的な料金目安がない

日本翻訳連盟(JTF)が公開している翻訳料金の目安は、英日・日英の2方向だけです。JTF公表値では、英日はコンピューターマニュアルの28円/単語〜医学医療薬学の35円/単語、日英は20〜30円/文字という分野別の平均値が示されていますが、ドイツ語を含む他言語の目安はありません。

つまり、ドイツ語翻訳には「業界団体が公表する基準価格」が存在しません。各社が英日・日英の水準を参考に独自の料金表を作っているのが実態で、同じ文書でも会社によって見積額に開きが出ます。複数社から見積もりを取って比べる工程を省けないのは、この事情によるものです。英語の相場の見方は日英翻訳の相場をまとめた記事で扱っています。

英語より高く見えても、単語数の差で総額の差は縮む

同じ翻訳会社の料金表で比べると、ドイツ語の単価は英語より2〜5割高く設定されているのが一般的です。ドイツ語の翻訳者が英語より少なく、特に日→独でネイティブ翻訳者を確保するコストが高いためです。

ただし、単価の差がそのまま総額の差になるわけではありません。ドイツ語は複合名詞が多い言語で、英語なら3語で書く内容を1語で表すことが珍しくありません。そのため同じ内容の文書でも、ドイツ語の単語数は英語版のおおむね8〜9割に収まります。

たとえば英語版が1,000単語、単価20円の文書なら2万円です。同じ内容のドイツ語版は約880単語になり、単価が3割高い26円でも総額は約2万2,900円で、差は15%程度にとどまります。英語版と同じ内容なら、ドイツ語版の総額は英語版の1〜2割増し程度と見ておけば大きく外れません。

文書別に見るドイツ語翻訳の総額目安|契約書マニュアルWebサイトメール

文書別に見るドイツ語翻訳の総額目安|契約書マニュアルWebサイトメール

発注担当者が知りたいのは、単価そのものより「自社の案件だといくらか」です。ここでは代表的な文書について、業界の単価レンジに文書ボリュームの目安を掛けた総額を試算します。

試算の前提

1ページあたりの分量は文書の体裁によって変わります。ここでは翻訳会社が見積もりで使う一般的な目安を前提にしました。

  • ドイツ語の契約書:A4 1ページに約300単語(条文が密に詰まった体裁)
  • ドイツ語の取扱説明書:1ページに約250単語(図表や余白を含む)
  • 日本語のWebサイト:1ページに約800文字(サービス紹介ページの本文)
  • 日本語の決算説明会資料:1枚に約200文字
  • ドイツ語のビジネスメール:1通に約300単語

分量は実際の原稿を数えるのが確実です。手元にWordファイルがあれば、単語数と文字数は1分で確認できます。

総額の目安一覧(2026年9月時点の業界レンジ)

案件の例方向分量適用単価総額の目安
売買契約書10ページ独→日約3,000単語法務 25〜30円/単語7万5,000〜9万円
産業機械の取扱説明書50ページ独→日約12,500単語技術 17〜25円/単語21万〜31万円
コーポレートサイト20ページ日→独約16,000文字一般〜マーケティング 15〜25円/文字24万〜40万円
決算説明会資料30枚日→独約6,000文字IR 20〜25円/文字12万〜15万円
取引先へのビジネスメール1通独→日約300単語一般 17〜22円/単語単価計算では5,100〜6,600円だが、ミニマムチャージにより1〜2万円

いずれも翻訳+校正の基本料金で、税別、標準納期の金額です。特急対応、DTP(レイアウト調整)、用語集の作成、翻訳証明書などは別途加算されます。

表の読み方と注意点

契約書は単価が高い一方で分量が少ないため、総額は10万円を切ることが多い文書です。金額より、法律用語を正確に訳せる翻訳者が担当するかどうかで選ぶべき案件です。

取扱説明書は分量が大きいため、単価差がそのまま数万円の差になります。ただし、警告文や操作手順には同じ文が繰り返し出てくるため、翻訳支援ツールを使う会社なら繰り返し部分の割引で総額が2〜3割下がることがあります。

Webサイトは、ドイツの読者向けに文章を組み直すトランスクリエーションが必要なページ(トップ、キャッチコピー)と、正確に訳せばよいページ(会社概要、製品仕様)が混在します。ページの役割で分けて見積もると、総額を抑えられます。

ビジネスメール1通は、単価計算の金額よりミニマムチャージのほうが高くなる典型例です。複数通をまとめて依頼するか、重要な返信だけ翻訳会社に出す運用が現実的です。

ドイツ語翻訳の単価が上がる5つの要因

ドイツ語翻訳の単価が上がる5つの要因

単価が相場の上限に寄るのは、訳語を選ぶために専門知識と調査が必要な文書です。ドイツ語では特に、法務技術医療特許IRの5分野でその傾向が強く、基本単価の10〜30%増しが一般的です。

法務文書:ドイツ法の概念と日本法の用語の対応

ドイツ語の契約書には、日本語に1対1で置き換えられない法律概念が含まれます。代表例が Gewährleistung と Garantie です。前者はドイツ民法上の法定責任で、日本の民法では「契約不適合責任」に相当します。後者は当事者が任意に約束する「保証」です。

この2語をどちらも「保証」と訳してしまうと、法定責任と任意の保証の区別が訳文から消え、責任範囲の解釈が変わります。2026年9月に筆者が無料のAI翻訳ツール2種類で確認したところ、どちらも Gewährleistung を「保証」と訳していました。契約書の単価が高いのは、こうした概念の対応関係を判断できる翻訳者と、法務の観点で読み直す校正者を工程に置くためです。

技術文書:DINVDE規格と安全表示の対応

ドイツの技術文書は、DIN(ドイツ規格協会)やVDE(電気電子情報技術協会)の規格を前提に書かれています。たとえば Elektrofachkraft は DIN VDE 1000-10 など複数の規格で定義された電気技術の有資格者を指す用語で、日本の「電気工事士」とは資格の要件が異なります。

日本向けの安全文書に置き換えるときは、規格の用語を機械的に訳すのではなく、日本側の規格や資格制度との対応を確認しながら訳す必要があります。産業機械、自動車部品、電気設備のマニュアルで単価が上がるのは、この確認作業のためです。

医療特許IR:誤訳の損害が大きい分野

医療機器の添付文書や医薬品の資料は、誤訳が人の安全に直結するため、専門知識を持つ翻訳者と二重のチェック工程が求められます。特許明細書は権利範囲を決める文書で、用語の一貫性と請求項の構造を崩さない訳し方が必要です。

IR資料は、決算短信や統合報告書をドイツ語圏の投資家向けに出す場合に発生します。会計用語の対応に加えて、公開日が決まっているため短納期になりやすく、特急料金が重なることも多い分野です。

特急DTP用語集:翻訳以外の工程で加算される費用

翻訳そのものの単価とは別に、次の項目が加算されます。

  • 特急料金:標準納期より短い場合に20〜50%増し。24時間以内の対応は上限寄りになる
  • DTPレイアウト調整:InDesignやPowerPointの原稿に訳文を流し込み、体裁を整える作業。ページ単価で別途加算される
  • 用語集スタイルガイドの作成:継続案件の初回に作ると、2回目以降の品質と工数が安定する
  • 翻訳証明書の発行:3,000〜6,000円程度。提出先が翻訳会社の証明を求める場合に必要

これらは見積書で「翻訳料」と別の行に書かれることが多く、単価の比較だけでは見えません。総額で比べる必要があるのはこのためです。

認証翻訳(Beglaubigung):別の料金体系

戸籍謄本、登記簿、卒業証明書などをドイツの官公庁に提出する場合、翻訳会社の通常の翻訳では受理されないことがあります。ドイツでは、州の裁判所で宣誓した公認翻訳士による認証翻訳(beglaubigte Übersetzung)が求められるためです。

在日ドイツ大使館の案内でも、日本の書類をドイツの公的機関に提出する際は公認翻訳士による認証翻訳が最も確実であること、大使館総領事館では翻訳を作成しないこと、アポスティーユが必要な場合は翻訳前に取得することが説明されています。

認証翻訳は公認翻訳士の資格に基づく別のサービスで、料金も通常の翻訳とは別体系です。提出先が「認証翻訳」を求めているのか、「翻訳会社の翻訳証明書」で足りるのかを先に確認しておくと、二度手間を防げます。

安いドイツ語翻訳の見積もりに潜む4つの落とし穴

安いドイツ語翻訳の見積もりに潜む4つの落とし穴

相場より明らかに安い見積もりには、工程を省いているか、別の費用が後から乗るかのどちらかの理由があります。金額を見る前に、次の4点を確認する必要があります。

英語経由の重訳(独→英→日)で工程が増えている

ドイツ語と日本語を直接訳せる翻訳者は、英語に比べて少数です。そのため、ドイツ語をいったん英語に訳し、英語から日本語に訳す「重訳」で対応する会社があります。安い単価の裏で、実はこの方式がとられていることがあります。

重訳は翻訳が2回入るため、原文の意味が2段階で削られます。前述の Gewährleistung は英語では warranty と訳されることが多く、そこから日本語にすると「保証」になり、法定責任のニュアンスは消えます。見積もり時に「独日を直接訳す翻訳者が担当するか」を確認すれば、この落とし穴は避けられます。

校正者が工程に入っていない

翻訳会社の単価には、翻訳者とは別の校正者によるチェックが含まれているのが標準です。ところが安い見積もりでは、翻訳者のセルフチェックだけで納品される「翻訳のみ」のプランになっていることがあります。

見積書に「翻訳+校正」か「翻訳のみ」かの明記がなければ、確認が必要です。校正なしの単価と校正込みの単価を並べて比べても、比較になりません。

ミニマムチャージと追加費用が見積書の外にある

単価が安くても、ミニマムチャージが2万円なら、300単語のメールは単価と関係なく2万円です。また、原稿がPDFや画像で文字を抽出できない場合の「原稿起こし」費用、納品後の修正回数の超過分、図中の文字の翻訳などが、発注後に追加費用として請求されることがあります。

見積もりを依頼するときは、単価だけでなく「この金額に含まれないものは何か」を必ず聞きます。総額で比較する習慣があれば、安く見せた見積もりに引っかかることはありません。見積もりの取り方全般は翻訳会社の見積もりに関する記事にまとめています。

機密文書が無料のAI翻訳に入力されている

極端に安い単価の背景に、翻訳者が無料のAI翻訳ツールで下訳を作り、手直しだけで納品しているケースがあります。無料の機械翻訳サービスの多くは、入力したテキストをサービス改善のために一定期間保存する規約になっており、契約書や未発表の製品情報を入力すること自体が情報漏洩のリスクになります。

機械翻訳を使うこと自体が悪いわけではありません。データが学習に使われない有料版を会社の管理下で使っているかどうかが分かれ目です。見積もり時に無料のAIツールを使っていないかを確認し、答えが曖昧な会社は避けたほうが安全です。

ドイツ語翻訳の見積もりを比べるチェックリスト

ドイツ語翻訳の見積もりを比べるチェックリスト

複数社の見積もりは、単価ではなく「同じ条件の総額」で比べます。次の10項目を各社に同じ質問として投げ、回答を並べれば、その場で比較できます。

見積もり比較の10項目

確認項目確認する理由望ましい回答の例
1翻訳の方向と担当翻訳者独日と日独では得意な翻訳者が違う日→独はドイツ語ネイティブが翻訳、独→日は日本語ネイティブが翻訳
2直接翻訳か重訳か重訳は意味が削られ、工程も増える独日を直接訳す翻訳者が担当
3校正工程の有無翻訳のみの単価と比べても意味がない翻訳者とは別の校正者がチェック
4単価の数え方単語文字、スペースや数字の扱いで分量が変わる原文ベースで、数え方を見積書に明記
5ミニマムチャージ少量案件では単価より効く金額と、複数原稿をまとめた場合の扱い
6専門分野の割増率法務医療IRは10〜30%増しが一般的割増の有無と率を事前に明示
7繰り返し文の割引マニュアル規程類で総額が大きく変わる翻訳支援ツールで繰り返しを解析して割引
8特急料金の条件標準納期の定義が会社で異なる標準納期の目安と、特急の割増率
9DTPレイアウトの範囲翻訳料と別に加算される対応形式とページ単価
10修正対応の範囲納品後の手直しが有料か無料か訳文の誤りは無償、原文変更は有償など

見積もり依頼時に渡すと精度が上がる情報

見積もりの精度は、渡す情報の量で決まります。次の情報をそろえて依頼すると、概算ではなく確定に近い金額が出ます。

  • 原稿ファイルそのもの(Word、PowerPoint、InDesignなど、編集できる形式が望ましい)
  • 翻訳の用途と読者(社内確認用か、顧客に配布するか、ドイツの官公庁に提出するか)
  • 希望納期と、譲れない期限
  • 過去の訳文、用語集、社内の表記ルール(あれば)
  • 翻訳証明書やDTPの要否

用途を伝えないと、翻訳会社は最も手厚い工程で見積もらざるを得ません。社内確認用なら校正を簡略化した安いプランを提案できる会社もあり、用途の一言で総額が変わります。

料金を下げる正攻法

相場の範囲で総額を下げる方法は、工程を削ることではなく、翻訳会社の作業を減らすことです。

  • 原稿を確定させてから発注する。発注後の原文変更は再翻訳の費用と納期に直結する
  • 編集できるファイルで渡す。PDFや画像は原稿起こしの費用が加わる
  • 繰り返しの多い文書は、翻訳支援ツールを使う会社に出す。過去の訳文があれば翻訳メモリとして提供する
  • 標準納期で発注する。特急料金は20〜50%増しで、最も大きい加算項目になる
  • 継続案件は同じ会社にまとめる。用語集と翻訳メモリが蓄積し、2回目以降の単価交渉と品質安定の両方に効く

ドイツ語翻訳会社の選び方|料金以外で見る6つの基準

ドイツ語翻訳会社の選び方|料金以外で見る6つの基準

ドイツ語翻訳会社は、独日日独それぞれにネイティブ翻訳者を置いているか、自社の分野の実績があるか、少量案件にも対応するかの3点を軸に選びます。翻訳会社選びの一般論は翻訳会社の選び方をまとめた記事に8つの観点で整理しているため、ここではドイツ語に固有の基準に絞ります。

1. 翻訳の方向ごとにネイティブ翻訳者がいるか

翻訳は原則として「訳文側の言語のネイティブ」が担当するのが理想です。日→独はドイツ語ネイティブが、独→日は日本語ネイティブが訳し、もう一方のネイティブが校正する体制が望まれます。

ドイツ語は英語より翻訳者の層が薄いため、「ドイツ語対応可」と書いてあっても、独日と日独の両方にネイティブ翻訳者を確保している会社ばかりではありません。問い合わせ時に「日→独は誰が訳し、誰が校正するか」を聞けば、体制が分かります。

2. 独日日独のどちらが得意か

翻訳会社によって、ドイツ語案件の内訳は偏っています。ドイツ製機械のマニュアル和訳を多く手がける会社は独→日に強く、日本企業の欧州向けサイト制作を手がける会社は日→独に強い傾向があります。

自社の案件が主にどちらの方向かを先に決め、その方向の実績を聞くのが近道です。

3. 自社の分野の実績があるか

ドイツ語翻訳の需要は、自動車、産業機械、化学、医薬、法務、IRに集中しています。JETROのドイツ概況によると、2025年の日本の対ドイツ貿易は輸出約183億ドル、輸入約233億ドルで、輸入の上位は輸送用機器、医薬品、一般機械とされています。ドイツ側の統計でも、2025年の対日輸出は210億ユーロ、対日輸入は221億ユーロにのぼります(JETROビジネス短信、2026年2月27日付)。

ドイツに進出している日系企業は1,902社(2024年10月時点、JETRO調べ)で、ドイツ語翻訳の主な案件は、こうした産業の技術文書と契約文書から生まれています。翻訳会社には「ドイツ語の実績」ではなく「自社と同じ分野のドイツ語の実績」を聞きます。分野が違えば用語も文書の型も異なるためです。

4. トライアル翻訳に応じるか

本発注の前に、数百単語のトライアル翻訳を依頼できるかを確認します。無料か有料かは会社によりますが、応じる会社であれば、実際に担当する翻訳者の訳文の傾向を事前に確認できます。

トライアルの原稿は、自社の文書のなかで最も専門性が高い部分を選びます。訳文は、社内のドイツ語が分かる担当者かドイツの現地法人に読んでもらい、用語の選び方と文体を確認します。

5. ISO 17100と機密保持の体制が整っているか

翻訳サービスの国際規格ISO 17100の認証は、翻訳者とは別の担当者による校正が工程として組み込まれている裏付けになります。情報セキュリティのISO 27001やプライバシーマークは、契約書や未発表情報を預ける際の判断材料です。

認証がなければ不適格というわけではありませんが、認証を掲げていながら工程を説明できない会社は避けるべきです。

6. 少量案件に対応しているか

メール1通、製品仕様の変更差分数行といった少量案件は、ミニマムチャージで割高になります。少量案件を頻繁に出す予定なら、月まとめ請求や、一定量までの定額対応があるかを確認します。

発注者タイプ別に見るドイツ語翻訳会社の選び方

発注者タイプ別に見るドイツ語翻訳会社の選び方

同じドイツ語翻訳でも、初めて発注するのか、継続的に大量に出すのか、少量を急ぎで出すのかで、選ぶべき会社と確認すべき点が変わります。

初めてドイツ語翻訳を発注する担当者

初めての発注では、社内に訳文の良し悪しを判断する基準がありません。この段階で選ぶべきなのは、独日日独ともネイティブ翻訳者と校正者のダブルチェックを標準工程に含む会社です。工程が標準化されている会社なら、誰が担当しても一定の水準を下回りにくく、初回の失敗を防げます。

問い合わせの段階で用途と読者を伝え、こちらの質問に工程を具体的に答えてくれるかを見ます。「対応できます」だけで工程を説明しない会社は、初回の発注先としては避けたほうが無難です。

継続的に大量に発注する企業

マニュアルの改訂版を毎年出す、製品カタログを定期的に更新するといった企業では、初回の単価より繰り返し文の割引と用語管理の仕組みが総額を左右します。翻訳支援ツールで翻訳メモリを蓄積し、改訂で変わった部分だけを翻訳する体制があれば、2回目以降の費用は初回を大きく下回ります。

翻訳メモリと用語集の所有権が自社にあるか、契約終了時にデータを引き渡してもらえるかも、契約前に確認しておくべき点です。

少量急ぎの案件が中心の企業

取引先からのメールへの返信、契約書の一部条項の確認、展示会直前の資料修正といった案件が中心なら、ミニマムチャージの金額と、特急対応の受付体制を先に確認します。

急ぎの案件では、ドイツと日本の時差(夏時間で7時間、冬時間で8時間)も納期に影響します。ドイツ在住の翻訳者を抱える会社なら、日本の夜間に作業が進むこともあります。

AI翻訳とドイツ語翻訳会社の使い分け

AI翻訳とドイツ語翻訳会社の使い分け

AI翻訳とドイツ語翻訳会社の境目は、誤訳が出たときの損害が社内で収まるか、社外に及ぶかです。社内に収まる文書はAI翻訳で足り、社外に出る文書や法的効力を持つ文書は翻訳会社に出します。

翻訳会社に向かないケース

次のような案件は、翻訳会社に出すよりAI翻訳で処理したほうが合理的です。

  • 数行のメールや社内チャットで、意味が取れれば足りるもの
  • ドイツ語の資料の内容を把握するための下読み
  • 社内向けの参考資料で、社外に出ない文書
  • 発注するほどの分量がなく、ミニマムチャージのほうが高くなる案件

翻訳会社に出すべきケース

  • 契約書、規約など、法的効力を持つ文書
  • 製品マニュアル、安全表示など、誤訳が事故につながる文書
  • Webサイト、カタログ、IR資料など、ブランドと信頼を背負って社外に出る文書
  • ドイツの官公庁や取引先に正式に提出する文書

AI翻訳がドイツ語の契約文やマニュアルをどこまで訳せるかは、2026年9月にGoogle翻訳とDeepLで実測した結果をドイツ語のAI翻訳の精度をプロが実測した記事にまとめています。使い分けの線引きに迷う場合は、そちらを先に読むと判断しやすくなります。

ドイツ語翻訳で迷ったときの定番としてのアットグローバル

ドイツ語翻訳で迷ったときの定番としてのアットグローバル

初めてドイツ語翻訳を外注する担当者が、工程と料金の両方を確認したうえで安心して出せる定番として、アットグローバルのドイツ語翻訳サービスを紹介します。2002年の設立以来1,000社以上の翻訳を手がけ、ISO 17100、ISO 27001、プライバシーマークを取得しています。

料金目安(2026年9月時点税別)

項目料金目安
独→日原文1単語あたり25円
日→独原文1文字あたり22円
専門分野(法務金融IR医療マーケティング)上記の10〜30%増し
ミニマムチャージ400単語分/800文字分(独→日1万円、日→独1万7,600円)
標準納期ドイツ語2,000単語(日本語4,000文字)で約4営業日
急ぎ(2営業日)20%増し
特急(24時間)30%増しから

いずれも一般的な技術資料を想定した目安で、実際の金額は原稿を確認したうえでお見積もりします。

工程に含まれるもの

独日日独とも、ネイティブ翻訳者による翻訳と、別の校正者によるダブルチェックを標準工程に含みます。日→独ならドイツ語ネイティブが翻訳し、両言語に精通した校正者が原文と照合して誤訳訳抜けを確認します。Webサイトやキャッチコピーなど、ドイツの読者向けに文章を組み直す必要がある場合は、ブラッシュアップやトランスクリエーションをオプションで追加できます。

先ほどの試算にあてはめると、売買契約書10ページ(約3,000単語、法務割増10〜30%)は8万2,500〜9万7,500円、ビジネスメール1通(300単語)はミニマムチャージの1万円が目安です。

向いていないケース

数行のメールや社内確認用の下読みは、ミニマムチャージのぶん割高になります。そうした案件はAI翻訳で処理し、社外向け文書や契約書は翻訳会社にまとめて依頼する運用が現実的です。また、ドイツの官公庁に提出する認証翻訳(Beglaubigung)は公認翻訳士の資格に基づく別のサービスのため、提出先の要件を先に確認してからご相談ください。

よくある質問

よくある質問
スイスやオーストリア向けのドイツ語も同じ料金ですか

基本料金は同じ会社がほとんどですが、表記と用語の調整が必要です。スイスのドイツ語は「ß」を使わず「ss」で書き、オーストリアでは食品や行政の用語にドイツと異なる語があります。ドイツ向けの訳文をそのまま流用すると違和感が出るため、見積もり時に対象国を伝え、その国のネイティブが校正に入るかを確認してください。

同じ翻訳者に継続して担当してもらえますか

多くの翻訳会社が対応しますが、指名を保証するかどうかは会社によります。継続案件では担当翻訳者の固定に加えて、用語集と翻訳メモリを会社側で管理してもらうことで、担当が交代しても品質を保てます。契約前に、担当固定の可否と、翻訳メモリの所有権が自社にあるかを確認しておくと安心です。

フリーランスのドイツ語翻訳者に直接頼めば安くなりますか

単価は下がることがありますが、校正工程と進行管理を自社で担うことになります。また、ドイツ在住の個人翻訳者に発注する場合は、契約、支払い、税務の扱いが国内発注と異なります。社内にドイツ語の訳文を検証できる担当者がいるなら選択肢になりますが、初めての発注では翻訳会社のほうが安全です。

機械翻訳+ポストエディットにすると、どのくらい安くなりますか

一般に通常翻訳より安くなりますが、割引幅は文書と会社によって異なります。ドイツ語には英語ほど機械翻訳の出力が安定しない文書があり、法務や販促文では修正量が多くなって通常翻訳と変わらない費用になることもあります。向いているのは社内向けの技術資料やFAQなど、意味の正確さが確保できればよい大量文書です。求める仕上がりの水準を先に伝えると、適切なプランを提案してもらえます。

ドイツ語翻訳会社の評判はどう確かめればよいですか

公開されている実績と認証に加えて、問い合わせ時の回答の具体性で見極められます。工程、担当翻訳者の言語、機械翻訳の使用方針をこちらから質問し、具体的に答えられるかを見ます。トライアル翻訳に応じるかどうかも判断材料です。良い評判だけでなく、対応できない分野や苦手な案件を率直に伝えてくれる会社のほうが、実際の取引では信頼できます。

原稿が確定していなくても見積もりは取れますか

概算なら可能ですが、確定した見積もりには原稿が必要です。分量が変わると総額が変わるため、多くの翻訳会社は「1ページあたり」や「1,000単語あたり」の概算を出したうえで、原稿確定後に正式な見積もりを出します。予算取りの段階ならこの記事の文書別の総額目安を使い、原稿が固まった時点で複数社に同じ原稿で見積もりを依頼するのが効率的です。

ドイツ語翻訳の料金相場と翻訳会社選びのまとめ

ドイツ語翻訳の料金相場と翻訳会社選びのまとめ
  • ドイツ語翻訳の相場は、独→日が原文1単語15〜30円、日→独が原文1文字15〜25円(2026年9月時点)
  • 料金は原文の分量で決まり、独日は単語数、日独は文字数で数える。ドイツ語1単語は日本語2〜2.5文字に相当する
  • 契約書10ページなら7万5,000〜9万円、取扱説明書50ページなら21万〜31万円が、翻訳会社に依頼した場合の総額の目安
  • JTFの料金目安は英日・日英のみで、ドイツ語には公的な基準価格がないため、複数社の見積もりを同じ条件で比べる必要がある
  • 単価が上がるのは法務技術医療特許IRで、法概念やDINVDE規格の対応が必要な文書は10〜30%増しが一般的
  • 安い見積もりは、英語経由の重訳、校正工程の省略、ミニマムチャージや追加費用、無料AI翻訳への機密入力を疑う
  • 翻訳会社は、方向ごとのネイティブ翻訳者、自社分野の実績、トライアルの可否、ISO 17100と機密保持、少量案件への対応で選ぶ
  • 初めて発注する担当者は、ネイティブ翻訳者と校正者のダブルチェックを標準工程に含む会社を選ぶと失敗しにくい
目次